Music7 ページ8
俺は声を出すのが楽しくなって、がむしゃらに歌った。
とにかく知っている曲を思い出しては歌い、思い出しては歌い…
今の俺の声なら、何を歌ってもサマになってるような気がした。
『Ah何光年はぐれたって 君を見つけ出し守る…♪』
……ふと、思いついたその曲を声に出した瞬間。
何かが俺の腹にすとんと落ちた。
(あれ……この曲、どこかで………)
引っかかる。
曲名も思い出せないその旋律は、俺がその先を歌わなかったせいでそのまま儚く消えていった。
そしてその後、俺は何故か完全に歌う気を失い、無駄に広い部屋はまた静寂を取り戻すことになる。
◇◆◇◆◇
「……」
訳もわからず意気消沈してしまった俺は、この世界の分析をまた始めることにした。
俺…アイドルなんだよな。
だったらテレビとかに出ててもおかしくない、ってことだよな?
そう思い立って、早速そこにあったテレビのリモコンを手に取る。
親指で電源ボタンを押した。
すると、ものすごーーく聞き覚えのある声がテレビから聞こえてきたのだった。
「おはやっほ〜!!」
そう、例の宮野真守ボイスだ。
俺はこのテレビ画面に映った彼を見て、確信した。
『これ……うたプリの世界かよ…っ』
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作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時