Music25 ページ26
黒崎とカミュが2人でぎゃーぎゃー騒いでいるのを後目に、美風は俺に話しかけてきた。
「別に…そんな意味のある溜め息じゃないよ。むしろただの呼気っていうか」
「そう………なら、良いんだけど」
美風は、その日焼けを知らない(知るはずもない)白い指で、俺の手をそっと包み込んだ。
や、や____
…柔けぇ………(真顔)
……じゃなくて!!
「……急にどうしたんだよ、美風」
「無理はしないで。…それだけ、言いたかった」
本当にそれだけ言うと、また美風は4人のいる方へ行ってしまった。
心配…してくれてるのは分かるんだが、どうにも雰囲気がおかしいよな。
少しでも調子悪そうにするとすぐに気づくし。
普段の美風なら、「体調管理がなってないよ、全く」くらい辛辣に言ってもおかしくないと思うけど。
「ほら、挨拶も終わったでしょ。Aの邪魔にならないうちにとっとと出るよ。ボクたちだって仕事あるんだから」
「ええ〜っ、まだ時間もあるし、もうちょいゆっくりしてこうよアイアイ!」
「ダメ。いいから早く出て。恐らくレイジが一番Aのストレスになりうる存在だから」
「いやそれはさすがに酷くない!?」
「カミュも、お菓子ばっかり食べてないで行くよ。ていうかここ、Aの楽屋だって忘れたの?食べ過ぎだよ、いくつチョコレートの包み紙をゴミに変える気?」
「…楽屋の菓子とはいえ、中々の味だな。少し貰っていくぞ音羽」
どうぞ、好きなだけお取りくださいカミュさん。
嵐のような人達だな、本当に。
俺の苦手な乙ゲー特有のキラキライケメン、遅刻してトースト咥えながら走ってたら曲がり角でぶつかって運命の出会いしそう感が全くない。
これなら俺でも接しやすい…かも。
「じゃあ、またな。寿、黒崎、美風」
「あと…」
『クリスザードもな』
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作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時