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Aside
目が覚めて、少し痛む腰をさすりながら寝返りを打つ
目の前には穏やかに寝息をたてる義勇がいて、その変わらない寝顔に頰が緩む
『子供の頃から変わらないなぁ』
その黒髪を一度だけ撫でてから、湯浴みをしに行く
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湯浴みから戻ってきて目の当たっている畳にころりと転がる
暖かい日を浴びていると伸ばしていた手を少し引かれる
『…おはよう、義勇』
「…ん、おはよう」
まだ眠いのか一度だけ目を開くとまだ眠気の交ざる声で私の名前を呼んだ
「A、」
来い、と広げられた手の中にクスクスと笑いながら収まる
『なんだ?今日は甘えただな』
「どうだかな」と義勇は目を細めると、心配するように少し腰をさすってきた
「その…大丈夫か、」
義勇の少し下がっている眉を見て微笑む
『そんなに心配しなくて大丈夫だよ』
「そうか、」と安心したように小さく息を吐くと控えめに抱きしめてくる
「今日は何かあるのか?」
『強化訓練の時の包帯とか貰いに行かないとだな、しのぶとも少し話がしたいし』
「あまり無理しないようにしてくれ」
『あぁ、分かってる』フフ
そのまま昼過ぎまで寝っ転がっていて、流石に体を起こす
縁側で刀の手入れをしている義勇に『じゃあ行ってくるな』と声をかける
「あぁ、気をつけて」
静かなその声を背に受けて、私は蝶屋敷へと足を進めた
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「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」と蝶屋敷中に響いた声に思わず『はは、』と笑う
なぜこうなったかと言えば私の言ったことが全てなんだが
しのぶのところに行けば偶々蜜璃も来ていたらしく、2人からどうなったのかと問い詰められた
遂に壁際まで追い込まれたところで顔を腕で隠しながらボソッと零す
『いや、まぁその恋仲になって…』
もう察してくれ…と赤くなった顔を隠したところで冒頭に戻るって訳だ
蜜璃はどこにいても聞こえるような叫び声をあげて、
しのぶは「わぁおめでたいですねぇ」とパチパチと手を叩いた
冨岡さんもやっと動いたんですねぇ、と微笑んだしのぶに『知ってたんだな』と苦笑する
「えぇ、貴方達ほど分かりやすい方なんていないですよ」
それも冨岡さんからもらったんでしょう?と髪を結っているところを指される
そこには確かに青鬼灯の簪が挿さっていて、
それを見た蜜璃は林檎のように真っ赤に染まって、「素敵だわぁぁぁぁぁぁ!!」と声を上げた
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#蛍(プロフ) - 楽しんでもらえて嬉しいです!大分時間も出来てきたので更新していけると思います…!これからも頑張りますのでよろしくお願いします!! (3月12日 9時) (レス) id: 8bcba223d3 (このIDを非表示/違反報告)
るー - いつも楽しく読ませていただいています。本当にこのシリーズ大好きです!お忙しいとは思いますがまたの更新を楽しみにしています!! (1月15日 20時) (レス) id: 98af811556 (このIDを非表示/違反報告)
#蛍(プロフ) - Lunaさん» お話大好きと言ってもらえてとても嬉しいです!胸キュンして頂けて良かったです🥰 (2023年2月27日 14時) (レス) id: 985513302e (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - お話大好きです!!胸キュンさせていただきました🥹💕 (2023年2月1日 18時) (レス) @page17 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
#蛍(プロフ) - Lunaさん» はじめまして!コメントありがとうございます!!いやあもう胸キュンしていただけるのは嬉しいです!!冨岡さんはイケメンなので書きやすいです笑こちらこそ読んでいただきありがとうございます! (2022年12月5日 19時) (レス) id: c3b6655689 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛍** | 作成日時:2022年10月2日 1時