貴女の魂、何色ですか？ 【土方】【高杉】

こんな日だってあるさ。9-3 ページ26

人混みの間をスルスル抜けていく子犬を追いかけるA。

Aは人の荷物に引っかかりながら、通り抜ける。

人混みを抜けたところで子犬は、狭い路地に入っていった。

迷うことなくAは後に続く。

そのあとも子犬は、あっちこっち角を曲がるが、Aはなんとかついて行けている。

子犬はどうやらAが自分のことを見失わない程度の距離を保ちながら走って行っているようだ。


貴「ハァ、ハァ、ハァ……。どこまでいく気なんだろ………」


とその時、


「どろぼうー！！どろぼうー！！！」


一つの店からそんな声が聞こえ、それらしい人物がバイクでこっちに向かって逃げてくるのが見えた。


貴「！？」


Aはとっさにすぐ近くののれんを手に取った！

バイクに乗ったコソ泥を睨みつけ、すれ違いざまに、バイクのメインボディに一突き！


「ぐぅっ！！」


バイクは派手に横転し、泥棒は足を強く打って地面でもがいている。

のれんを戻し、制服のポケットに入っていた手錠をかけ、出て来た店の店主に言った。


貴「私警察だけど……警察呼んで……！！」


「は、はい……ありがとうござい………え？」


店主が言い終わらないうちにAはまた犬を追いかけ始めた。

やがて犬は、車も通る人の多い道に向かっていく。



するとAのほんの数メートル先を歩いていた女の子が風船から手を離してしまっていた。

「あ…！風船が〜！」

貴「！？」

Aはガードレールを踏み台にシャンプして風船をギリギリキャッチ！

貴「はい、どうぞ」

すぐに女の子に手渡す。

そしてまた犬を追いかける。

「あ、ありがと………。あ………」

女の子は走り去っていくAを見つめていた。

その子だけでなく、必死に走っていくAを、街ゆく人たちの多くが奇妙そうな目で振り返っている。

貴「はぁ、、はぁ、、はぁ、、」

さすがに息を切らすA。走り回って体温が上がったせいか、マフラーを乱暴に解いた。

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