第八話「鬼が出る」 ページ9
それからはまあ大変だった。お客も取れない身体なので接待もなく、雑用ばかりこなした。掃除や洗濯が主だったが、苦痛と感じたこともない。ここは花街だが笑顔が溢れ、禿たちも幸せそうだ。洗濯物も手伝ってくれて、何不自由ない生活を送れている。
そんな中、ある噂が花街に流れた。
「ねえ知ってる?また遊女がきえたんだって!」
「あの人でしょ?足抜けするひとじゃないのに」
洗濯物を取り込んでいると、私の一回り小さい禿がそう言った。私はその話に首を傾げた。足抜け?それって鬼滅の刃の原作でも見たことがある。確か遊女が夜逃げすること…だったと思うけど。
「そんな噂立ってるの?」
「Aちゃん知らなかったの?今ね、遊女達が足抜けが絶えないんだって!それも毎日!一人ずつ…」
女の子はやはり噂話が好きだ。こわーい!と叫んでる禿達に私は顔をしかめた。毎日、一人ずつ遊女が消えて行く…そこで思ったのは、あの梅ちゃんが起こした事件。確かあれはだいぶ先の話だ。しかもここの花街は原作とは違う花街のようだし、鬼の仕業ではないと思う。でもなんだか嫌な予感がする…
「Aちゃーん!ちょっといいかしら!」
「はーい!」
女将さんが私を呼んでいる。禿達は後はやっておくからと言うので、申し訳ないが洗濯物を任せ女将さんの元へ向かった。女将さんは料理の支度中なのか、腕をまくりグツグツと鍋で煮物を作っていた。
「ごめんねAちゃん、お醤油がきれていたから買い出しに行ってくれる?今手が離せなくて」
「お醤油ですね、大丈夫ですよ」
女将さんは悪いわねとばつが悪そうにお金を渡してくれた。醤油は花街を抜けたすぐそばにある。近いし、早く買って来れる。私は手でお金を持ったまま下駄を履いて店から出た。
朝だというのに花街の人通りは多くて、ガヤガヤと賑わっていた。いろんな店には遊女の化粧道具が売ってあった。私はそれらを通り過ぎて急ぎ足で店へと向かう。その途中、見慣れた服があったので思わず足を止めてしまった。
鬼殺隊の服だ。どうしてこんな所に?その人の顔を見れば原作では見たことのない人だった。そんな人がこんな花街に何の用なんだろうか。私はその時、禿たちが話していた会話を思い出した。
『遊女がまた消えたんだって!』
噂と同時に現れた鬼殺隊員。
「…まさかね」
私はその鬼殺隊員を見て見ぬ振りをし、急ぎ足で店へと向かった。
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❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時