第五話「花街」 ページ6
俺はパチリと目を覚ました。ガバリと起き上がればそこは畳のある部屋で、すぐさま鱗滝さんの家だと理解した。額には包帯を巻かれすぐそばには厄除の面と刀が置いてあった。
俺は…最終戦別に生き残ったのか？分からない。あのまま意識を失うなんて。そうだ。錆兎とAは…！
その時ガラリと襖が開いた。俺は驚いてその方向を見ると錆兎が立っていた。俺が目覚めているのを見て目を見開いていた。その手には替えの手拭きが握られている。俺は錆兎の安全を確認できて安堵の表情を浮かべた。
「目が覚めたか、義勇…」
「うん。なあ錆兎、Aは？」
よく見れば錆兎の目の下には隈がある。俺のそばに座ると歯を食いしばった。その表情を見て俺は凍りついた。まさか…
「…すまない義勇。俺がいながら、Aは…」
その言葉で全部理解した。Aが、死んだんだと。
錆兎から全部聞いた。最終選別で生き残ったのはA以外の全員だと。錆兎が懐から厄除の面を取り出した。乾いた血がついた、Aの面だ。
「すまない、義勇…っ」
何度も謝る錆兎。違う。錆兎は悪くない。俺が、あんなこと言ったからだ。明るくて優しいA。同い年なのに年上のようで、強くて、俺が泣けばいつも慰めてくれた。そう、まるで蔦子姉さんのように。
俺が、いつものように頼ったからだ。錆兎が心配でAに縋り付いたから。Aは責任感が強いから、行ってしまった。
俺が…弱いせいだ。
また瞳からはボロボロと涙が溢れでる。いつも泣く俺を叱る錆兎だったが、今回は怒らなかった。むしろ錆兎も悔しそうに拳を握りしめて、静かに涙を流していた。
俺は、二度も大事な人を失ってしまった。強くなりたい。俺が弱いからこうなったならば強くなりたい。
蔦子姉さん。A。未熟な俺で、ごめん。
____
「んっ…」
なんだかガヤガヤとうるさい。
「あ、起きた？」
「いいや、魘されてるだけよ。汗もかいてる。拭いてあげましょ」
誰…？優しそうな声。額に当たった布にハッとする。カッと目を開き起き上がれば私の周りにいた女の人は驚いた声をあげる。ここは…？
周りを見れば綺麗な着物を召してる女の子や、女の人が私を見て驚いていた。
「まだダメよ寝てなくちゃ。貴方ひどい状態だったんだから」
「あの、ここは…！」
私は女性に話しかければまたまた驚いたように口を開く。
「ここは花街。貴方川から流れてきたのよ」
ああ、どうやら私は生きてしまったらしい。
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❤︎ - 面白かったです〜！！！最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜！！何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです！待ってますね。 (8月24日 21時) (
レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです！！！更新待ってます！！！！！！！！ (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き！続きはどこ？！ねぇ？！（（やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます！！ (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり！？更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2019年11月17日 20時
