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第三四話「あと一歩」 ページ35

俺はようやく尻尾を掴んだ。Aは牡丹という芸名でお酌だけしかしない遊女だと、客は言っていた。俺はそれを聞いてなぜか安心した。それと同時にもうすぐAに会えるのだと思うと胸の鼓動が止まらなかった。

俺は花街を走りその小さな店を勢いよく開けた。驚いたようにそこの遊女達は俺をみて目を丸めた。

「お客さん、まだ店は開いていません」

「ある人に会いたいんだ。ここに牡丹という遊女がいるだろう」

その言葉にみんなしん…と静まり返った。なんだ、俺は何か変な事を言ったか。俺は眉を寄せれば遊女の中から一人立ち上がる女がいた。傍に禿が寄り添うようにいた。この店で一番の姐さん的存在なのだろう。

「あの子に何の用?」

「あいつは…俺の生き別れた友だ。ここにいると聞いてやってきた」

それ聞くとみんながざわざわとし始めた。Aがここに保護されたのはわかっている。その遊女は目を見開くと禿の頭を撫でながら口を開いた。

「牡丹なら、もういません」

「なに?」

俺はその言葉に眉を寄せた。匿おうとしたって無駄だ。いないはずがない。だがこの女が嘘をついてるようにも見えなかった。

「牡丹…Aならある男が身請けしました。もう数日前のことです」

俺はその言葉を聞いて何かが崩れ落ちた。身請けされた…Aが?俺はそれを聞いて頭を抱えた。思い当たる人は一人しかいない。

宇髄天元。あいつが、Aを身請けしたのだ。

俺は、また一歩遅かったのか…!救いの糸がプツンと頭の中で切れた。やっと苦労して見つけたと思えば、本当にお前は宇髄の嫁なんかになるのか?俺らに何か一言、言ってくれればいいじゃないか。

…Aはもう、俺らに会いたくはないのか。俺たちだけがこんなに会いたがっているのか。そうだよな。俺はお前を殺したのも当然だ。

「…っくそ!!」

俺は店の壁を勢いよく拳で叩く。俺は、何一つ守れない。こんなの、男らしくない。

「…一休み、していかれますか」

その女はそう言うが俺はいいとだけ伝えてふらりと店を出た。宇髄の、嫁だと。認めない。でもそれがAの選んだ道ならば、これ以上模索する必要もない。

鴉が鳴いた。今日もここいらで任務がある。俺は気持ちを切り替えようと己に自己暗示した。

だが、俺はその日の任務で始めて失敗し、左肩を負傷した。

第三五話「負傷」→←第三三話「身請け」



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❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時

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