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第十六話「好きな人(推し)」 ページ17

「…それは…」

私は困惑した。年月は過ぎたけれど会ったのはたった2回。それなのにどうして宇髄さんは私に婚約を申し込むのだろう。しかも既に妻を三人迎えているはずだ。宇髄さんが分からない。

「…ダメか?」

捨てられた子犬のような顔をする宇髄さん。やめて、そんな顔で見ないで。宇髄さんからの婚約の申し出は嬉しい。嬉しいけれど原作キャラと深く関わってしまっていいのだろうか。それに婚約て…到底わたしには縁のない話だと思ってた。それもまさか、前世で読み漁った原作のキャラと添い遂げるなんて誰が思うだろう。

でも…

「…ごめんなさい」

わたしには、やはりできない。私は宇髄さんの手を取らず、顔を伏せた。宇髄さんは眉を寄せ手を引っ込めた。

「なんでだ?それだけ教えてくれ」

なぜって…原作キャラとは付き合えませんって言えばいいのか?それは出来ない。私が転生者であることを言えば嘘だと思われる。私は困惑するが勢いに乗り口を開いた。ああもう、どうにでもなってしまえ。

「…好きな方が既に、おりますので」

私は、傷跡が残った頬に触れた。あながち間違っていない。私は既に好きな人(推し)がいるのだ。簡単に乗り換えできるわけない。この傷とお揃いのあの推しを。もちろん義勇さんも好きだけれど。あの二人は私の中での最推しだ。

「…そうか」

宇髄さんは、悲しそうに笑った。ああ、そんな顔をして欲しくないのに。でも、この方が貴方のためだと私は思う。私はモブなのだから、原作キャラに近づいてはならない。遠くから見つめる、それだけでいいの。

「まあそれで諦めるわけねえけどな」

「え?」

宇髄さんはそう言って立ち上がる。宇髄さんは立ち上がったまま座っている私の頬に触れた。でかい手が私の傷跡がついた頬をスルリと撫でた。

「派手に待っとけ、俺はお前を嫁にする」

宇髄さんは名残惜しそうに私の頬から手を引っ込める。宇髄さんはそのまま襖を開ける。それと思い出したかのように振り返り、今度は挑発的な笑みで私を見るのだ。

「いいか、その間誰にも取られるんじゃねえぞ」

また来る、なんて言ってまた彼は部屋を去っていた。今度はきちんと部屋から出て行ったけれど。私は何も言えず部屋にまた取り残された。あらまあ。

私は、原作キャラと離れられない。

第十七話「水柱」→←第十五話「よく見るパターン」



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❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時

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