第293話 英雄人 ページ23
「これが、シノン城……」
「シャルル王子の城か……」
頭上高くまでそびえる城を見上げ、松風と霧野が呟く声を聞く。
妙な言動は起こさないように、慎重にしなければ──。
「フランスの運命が懸かった対面だな」
「……ジャンヌ……」
言動一つ次第で、王の御心が変わる。
そして王の御心次第で、オルレアンの為の援軍を得られるかどうかが決まる。
剣城も表情を変えないまま城を見上げたが、フェイはジャンヌの様子が心配だった。
黄名子も彼女の様子を察してか、人懐っこい笑みを見せながら発破を掛ける。
「ここまで来たんだから、当たって砕けるやんね! 頑張ろ、ジャンヌさん!」
「はい……」
そうしてジャンヌを先頭にして、門番の下でシャルルとの面会を求めた一行は
一先ず、城の内部にある中庭の方へと通されたのだ。
〜･〜･〜
中庭は、彼等七人が居るためにはあまりに広すぎる場所だった。
その広すぎる中庭でさえ、中心部で相手の応答を待つ彼等の周囲では
フランスの騎士達が目を鋭くさせて、ただ静かにこちらを監視している様である。
「私……疑われているんですね……?」
「あんなの気にする事ないやんね!」
「……一刻も早く、オルレアンに援軍を送らなければならないというのに……!」
こうしている間も、いつ敵軍が動き出すものかわかったものではない。
焦りばかりが募るジャンヌはこの状況に置かれている事を良く思えなかった。
黄名子が彼女を落ち着かせるように気楽に声を掛けるのに乗じ
霧野もジャンヌを少しでも安心させようと、笑いかけてやる。
「ここで不安な顔をしていたら、上手くいくものもいかなくなるぞ」
「…………蘭丸……」
「ジャンヌ･ダルクはフランスを救う。それが正しい歴史さ!」
「そうそう、ジャンヌ･ダルクは英雄やんね!
どーんと構えてれば良いんよ! 神のお告げでも、そう言ってたんでしょ?」
力強く頷くフェイと、傍らでおどける黄名子の姿を見つめるジャンヌ。
緊張していた彼女にとっては、そんな些細な言動でさえ可笑しく思えたのだろう。
「っふふ……! そうですね」
思わず吹き出しながら小さく頷いたジャンヌの頬が、僅かに緩んだ。
今ばかりは彼女の余裕こそが、松風達にとっても救いになる。
──ようやく向こう側からの合図がやってきたのが、丁度その時の事だった。
「ジャンヌ、王太子様がお呼びだ」
「──わかりました」
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉー(DS)さん» “後でちゃんと鬼道さんとの絡みも入れたので許してね☆”なコンタン丸見え!! ですね。 (2017年1月18日 23時) (
レス) id: c61a11e856 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(DS) - でもまあ、その後で鬼道さんとの絡みも見れたので個人的には満足ですが。御馳走様ですw……なお信長さま((にっこり (2017年1月16日 20時) (レス) id: 6434022909 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉー(DS)さん» お久しぶりです! 一ヶ月って本当早いですね……しみじみと言っている場合じゃありません! あ、信長さんの事ですか? あ、ああ……(やっちまった感) (2017年1月15日 22時) (レス) id: c61a11e856 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 飛鳥さん» 初めまして! 返信が遅れてすみません、コメントありがとうございます! 無印編から読んでくださったのですね……! 本当に長連載ですよね、ここまで来て下さってとても嬉しいです! 更新頑張ります! (2017年1月15日 22時) (レス) id: c61a11e856 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(DS) - お久しぶりです。何時の間にか信長編が終わっていて驚愕してます。ジャンヌさんの行動、「スパイだったら疑って食べないよね」的な意味かと…。というか、信長さん！ちょっと！玲来さんとキスしていいのは鬼道さんだけなんだぞ！！ (2017年1月15日 20時) (レス) id: 6434022909 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2017年1月7日 0時
