第475話 さよなら、巨竜 ページ25
トーブを仲間に加えてTMキャラバンに乗り込んだ一行は
一先ず、現代への帰還に向けて発進準備を開始する。
ワンダバの操縦の下、タイムジャンプのためにキャラバンが宙に浮遊する。
その間、窓の向こう側から悲愴なビッグの鳴き声が、ガラス越しに聞こえて来た。
「さよならって、吠えているみたい……」
気づいた葵がぽつりと呟くと、それを聞いてか否や、何かを思い立ったフェイが
勢いよく座席を立ち上がり、ビッグの居る方面へと駆け寄り、窓を開け放つ。
スムーズに下へスライドして開いた助手席側の窓から、思い切り顔を出し
夕陽の強い光の影響を受ける土色の地面の上、独り立ち尽くすビッグの姿を捉えた。
宙を浮くキャラバンから見下ろすその姿は、広い大地の許で酷く小さな存在に思える。
「ビッグ!」
腹の底から張り上げるフェイの声に、ビッグも今までにない大声で嘶き返す。
自分と同じ孤独を背負った巨竜、自分にミキシマックスの力を与えてくれた巨竜。
あの時に確かに共鳴した意志、どちらかが投げかける度にどちらかが応える声。
何年先の遠い未来でも、僕は、お前の魂を感じながら、お前の意志と共に戦い抜こう。
「さよなら! 元気でなーっ!!」
「……あの声には、誓いの気持ちが入ってんぞ」
「何者にも負けない強い恐竜になるって、誓っているんじゃないのかな……」
恐竜の言葉を完全に理解するトーブの、絶対に間違いのない裏付けに
フェイの傍らへ寄り添い、同じ窓からビッグの姿を視界に入れた松風が続く。
誰に言われずとも、ビッグが言わんとする事はフェイにだって察せられた。
しかし、トーブの言葉を聞いた途端、不思議なことに涙が溢れて、止まらなくなる。
「ビッグーっ!!」
「――キーィッ!!」
お前が戦うというのなら、そのために強くなり続けるというのなら。
僕もそんなお前に恥じない自分で在れるように
心から守るべきだと信じているものを、守り抜いてみせよう。
それを達成した時には、胸の内に残るお前の魂に向かい、誇りをもって勝利を語ろう。
フェイとビッグは、ワープ航行が始まる直前まで互いを見つめ合い、叫び続けた。
それこそが、二人にとって無用な言葉を交わさぬ、誓いの雄叫びだったのだ。
〜･〜･〜
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 9時) (
レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの人 - 凄い久しぶりに見に来たけどやっぱ一気に見ちゃいますね！更新したかなー？ってぐらいでまた来ますね(●´▽`●) (2020年8月12日 21時) (レス) id: 7c87d58c6d (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 彩夏さん» お久しぶりです〜! いつもコメントいただけて嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月10日 23時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - お久しぶりです！更新お疲れ様です！ (2020年7月10日 8時) (レス) id: e2a9603a24 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - かなりさん» またまたコメントありがとうございます〜! 大切に閲覧くださって本当に有難いです……。なかなか早く更新できなくて申し訳ありません;; 体調は大丈夫ですのでご心配なく! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2019年9月14日 7時
