第472話 解を明かさずして ページ22
特訓を重ねて、少しは奴等と渡り合えるようになったかと希望を抱いたが――
レイ･ルク達はまだ、これ以上の力を発揮できるというのか。
そうなると現状では、幾ら松風等が万全の状態であっても、勝ち目はないだろう。
得点差は広がったまま、試合時間も残り僅か――有ったとしても、善戦はできない。
自分達はこの試合で、また何かを失うのか? 絶望的な予感が、思考の隅を過る。
だがこの瞬間、試合を達観していた相手監督が、唐突に焦った様子で声を張り上げた。
「緊急事態だ! 戻るぞ!」
「イエス。本部からの情報を受信。こちらも状況を把握」
監督の下した指示に、チームキャプテンが淡々と応じる。
すると、後半戦も終わりを迎えない間に、次々と敵方が姿を消していく。
同時に、周囲に設置されていたサッカーフィールドも消滅し
毎度、この戦いに付き合わされている実況者も元居た場所へと帰されていった。
「ど、どういう事だ……?」
「一先ず、追っ払ったって事かな……」
「いや……見逃してもらった、と言うべき状況だな」
何の説明も無く自分達を置き去りにした相手の行動に、困惑した神童が眉を寄せる。
西園が様子を窺いつつ呟いたのに対し、剣城は現実をシビアに捉え、見解を述べた。
今の自分達にはまだ、パーフェクト･カスケイドを追い払える程の実力は無いと。
しかし、それを素直に納得する事のできない松風が、取り繕うように声を上げる。
「でも、俺達だって十分に……!」
「ああ……敵の最強チーム相手に、なんとか戦えた。
もっと特訓してレベルアップすれば、サッカーや円堂監督を、きっと取り戻せる筈だ」
「……そう……ですよね」
その様子はまるで、どうにも腑に落ちていない様子の松風を
一先ず宥めるために、機転の利く神童が上手く言い包めているかのようだ。
「…………あの、撤退は……」
「私達……助かったんだね?」
何にせよ、最悪の事態は免れた――胸を撫で下ろした奈々の問いに
“ああ”と端的に返答をするAは、心此処に在らずといった面持ちであった。
彼女と共にベンチから立ち上がった鬼道は、そんな彼女の横顔を慎重に見つめる。
思い返せば思い返すほど、彼女への鬼道の疑念は濃くなった。
初めて過去へと渡った当時と今では、まるで彼女の纏う雰囲気が違う。
この戦いにおいて、Aは、自分達の知り得ない“何か”を予感している。
ただ、その解を自身の手で明かす事は、どうしてか憚られた。
〜･〜･〜
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 9時) (
レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの人 - 凄い久しぶりに見に来たけどやっぱ一気に見ちゃいますね！更新したかなー？ってぐらいでまた来ますね(●´▽`●) (2020年8月12日 21時) (レス) id: 7c87d58c6d (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 彩夏さん» お久しぶりです〜! いつもコメントいただけて嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月10日 23時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - お久しぶりです！更新お疲れ様です！ (2020年7月10日 8時) (レス) id: e2a9603a24 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - かなりさん» またまたコメントありがとうございます〜! 大切に閲覧くださって本当に有難いです……。なかなか早く更新できなくて申し訳ありません;; 体調は大丈夫ですのでご心配なく! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2019年9月14日 7時
