6限 izw ページ6
6限は英語。同じ授業をとっている友達と、荷物を抱えて、教室を移動する。
｢あ〜……英語か｣
英語は嫌いではないけれど、気分が浮かない。なぜなら、去年まで習っていた伊沢先生が、今年は別の学年を教えているからだ。
今年の先生が嫌いなわけではないけれど、時々しょうもない雑学を挟んで、これでもかとばかりにドヤ顔をする伊沢先生が見られないのがとにかく寂しいのだ。
｢A、去年から伊沢先生のことそんなに好きだったっけ？｣
｢違うんだよ、失って気付くものってあるじゃん！｣
友達に聞かれてそう返す。こんなことなら去年の授業をもっと大切に、噛み締めて受けるべきだった。
｢あぁ〜、伊沢先生に会いたい｣
｢校内にいるから会えるよ｣
｢そういうことじゃないの！！授業で会いたいの！｣
分からない、という目で私を見つめる友達。そりゃあ、この子の好きな山本先生は今年私たちの担任だから、分からなくて当然だ。
｢伊沢先生が担任だったらどれだけ良かったことか…｣
大きなため息をついて教室に入ろうとしたその時。私たちと入れ違いで教室から出てきたのは、噂の伊沢先生だった。思わず後ずさりをしてしまう。
｢おっ久しぶり｣
｢あっ、えっ、その…お久しぶりです｣
｢何テンパってんの？もしかして、俺に話の内容聞かれたかも…！とか思ってる？｣
右の口角だけが上がる、不敵な伊沢先生の笑い方。これは、完全に聞かれてしまった。穴があったら入りたい。
｢え？何も話してなかったですよ？｣
｢嘘つけ、俺に会いたいって言ってたのどこの誰よ｣
伊沢先生に誤魔化しは効かない。たちまち追い詰められてしまった。
｢嬉しいなぁ、生徒がそんなこと言ってくれるなんて。教師冥利に尽きる｣
｢絶対思ってないですよね｣
｢あっ、そうだ。俺が担任じゃなくて残念だったな｣
私の発言をどんどん抉ってくる伊沢先生。人を追い詰めるのが趣味なのか、私が顔を赤くしているのを見て、確実に楽しんでいる。
｢そんなに俺の授業受けたいんだったら、特別補習してやろうか？｣
｢えっ？…いいんですか？｣
｢苦しゅうない｣
伊沢先生独特の言葉選びに、ふっと笑みがこぼれる。やっぱり好きだな、なんて思ったことは絶対に顔に出すまい。
｢すげぇ嬉しそうな顔するじゃん。俺のこと大好きかよ｣
駄目だ、しっかり顔に出てしまっていたらしい。6限も頑張れよ、なんて言って私の頭をわしゃっと撫でて、伊沢先生は颯爽と去っていった。
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てけまる - カルボンさん» 返信遅くなって申し訳ありません。ありがとうございます！楽しみに待ってます！ (2020年4月13日 18時) (
レス) id: b79a1bba97 (このIDを非表示/違反報告)
雨虹(プロフ) - ほんとですか！むっちゃ嬉しいです！だからと言って無理しないでくださいね！ (2020年4月12日 17時) (レス) id: 545198a489 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - カルボンさん» ぎゃあ！嬉しい！ありがとうございます！作者さんのペースで、無理せずお願いします！ゆったりと待っていますので！ (2020年4月12日 12時) (レス) id: 6ede61fc28 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - 雨虹さん» コメントありがとうございます！海！！個人的には、学校の教室から海が見えるので海は好きです。書かせていただきますね！ (2020年4月11日 15時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - てけまるさん» 雨の日って詩的な情景ですよね…！書かせていただきます！ (2020年4月11日 15時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カルボン
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月31日 19時
