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疲れ果てて帰宅し、ソファーに座ればひとりでに流れてくる涙。指が勝手に乾くんのLINEを開いて、発信ボタンを押していた。
スマホから流れる無機質な発信音。私何してるんだろう、と電話を切ろうとしたその時、幸か不幸か乾くんの声がした。
｢もしもし、A先輩どうしました？｣
｢あ、間違えて押しちゃっただけだから、ごめん｣
｢本当ですか？じゃあ失礼します｣
そう言って電話は切れて、いよいよ1人になった私はソファーにうずくまって泣くことしか出来ない。
今朝、4年付き合っている彼氏の家に合鍵で入ると、中に私のものでは無いイヤリングが落ちていた。問い詰めると彼氏は他に女の子がいることを明かし、トドメを刺すようにこう言ったのだ。
｢俺やっと本気の恋見つけられたから、応援して欲しい｣
私と過ごした4年は次の彼女への踏み台だったのか。自分が塵のように思えてきて、彼の家を飛び出したのだ。
コップの水を一気飲みする。胃が急に冷やされる感覚に、生きた心地のしない今でもしっかり生きてるんだなぁ、と少し笑った。
その時だった。インターホンが鳴って、ドンドンと扉を叩く音。彼氏なら顔も見たくないと思ったが、近所迷惑なので嫌々ドアを開ける。するとそこにいたのは乾くんだった。
｢A先輩の嘘分かりやすいんですよ、間違えたとか言いながら声が泣いてるんだもん。来ちゃいました｣
コンビニで肉まん買ってきました！とビニール袋を高々と掲げる乾くんを前に、抑えていた涙が溢れた。
｢無理しすぎないで下さい｣
そう言うと乾くんは私の頭を抱き寄せて胸の中で泣かせてくれた。
｢気分転換に外出ません？話ゆっくり聞くので、とりあえず暖かくしてください｣
急かす乾くんの勢いに負けて、コートを着て外に出る。もらった肉まんを頬張ると、温かさにまた泣けてきた。
｢A先輩の彼氏、浮気してましたよね｣
｢知ってたの？｣
｢風のうわさで。A先輩が悲しむと思ったら言えませんでしたけど｣
不意に空から雪が降ってきた。今年の初雪だ。隣を見ると、同じように空を見つめていた乾くんが呟いた。
｢もし明日空いてたら俺と過ごしませんか？｣
｢明日ってクリスマスイブだよ？空いてるけど…いいの？｣
｢俺ならA先輩のこと絶対泣かせたりしないので｣
初めて見た可愛い後輩の男らしい顔。雪が目に入った、とわざとらしく騒ぎ始める乾くんの耳は赤く染まっていた。
『初雪を君と』〜ini〜
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和奏(プロフ) - 初コメ失礼します。ymgmさんのお話、とても素敵でした。心理学強そうなイメージなので、人の心情には敏感なのかなぁと思ったり、思わなかったり… (2020年12月21日 8時) (
レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
フェレット(プロフ) - ジャスコ好きです。奇跡の確率求めなくては(hnoさん) (2020年4月18日 9時) (レス) id: 88923771a6 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - フェレットさん» 田村さんとのその後はご想像にお任せします(*´`) (2020年4月17日 22時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
フェレット(プロフ) - 会話だけの話も良いですね、その後どうなったのでしょうね() (2020年3月29日 10時) (レス) id: 88923771a6 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - フェレットさん» どうも、幸せ供給隊長カルボンです（？） (2020年3月29日 0時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カルボン
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月5日 23時
