【ツルネ】ハバタケ 〜The Lost Memory〜

47.ニックネーム1号 (Side N) ページ50

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｢えー、だって最初の2文字取るとナナくんで女の子みたいじゃん。『ななおく〜ん！』とか言っちゃうと、取り巻きの女子みたいで嫌だし。だから、ナオくん｣

｢……まあ、それは確かに、納得｣


Aちゃんは、


｢ん〜、他の皆はなんて呼ぼうかな〜｣


なんて、鼻歌を歌いながらまた脚をぶらぶらさせる。
これだから、本当に……。
苦笑交じりに、完成間近のカレーを見やる。

……いや、あれこれあるけど、とりあえず今はカレーを仕上げなきゃだよね。


｢鳴宮ー！ ご飯の準備できたー!?｣


何かを振り払うように、大声で鳴宮を呼んだ。




ーーーー




完成したカレーを、みんなで食べる。みんなで食べると、いつもの何倍もおいしい。
向かいに座ったAちゃんは、なんとさっきの火傷を笑い話にして、他の女子全員にすっごい心配されていた。


｢石頭ぶつかったのにナオくんの肩にヒビ入ってなくて、良かったよ〜！｣

｢良かったじゃありませんわ！｣

｢そうだよ！ Aちゃんに傷跡が残ったらどうするの!?｣

｢……ていうかA、『ナオくん』って、誰？｣


妹尾さんの疑問に対して、Aちゃんは、無邪気な笑顔を見せて答えた。


｢如月くんのこと！ 如月くんって言いにくいから、ナオくん！｣

｢まあ、という訳です｣


いつもの笑顔で、オレも話に交ざる。


｢うん。最初は、七緒でいいよって言われたんだけど、ファンの子達みたいに『ななおく〜ん！』って言うの嫌だし、最初の2文字はナナくんって女子みたいだし。だから、ナオくん！｣


Aちゃんの楽しげな声が夜空にこだまする。





オレは思った。

この時間が、永遠に続けばいいのに──。









ちなみにあの後、Aちゃんによるファンの子達の声真似が上手すぎて、全員が大爆笑したのだった。

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如月七緒

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