46.ほんの小さな、事故 / ささいな提案 (Side N) ページ49
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「っ……!」
左手をうめき声と共に抱えた拍子に、足がもつれて如月くんの方へ盛大に転びかける。半ば頭突きでもするかのように突っ込む私を、ところが彼は、いとも容易く受け止めてしまった。
「瀬戸名!?」
遠くでお皿を出してた鳴宮くんが、駆け寄ってくる。
「火傷か……。如月、小さい鍋に水入れて冷やしてやって。氷と応急処置できるもの探してくる」
「……わ、わかった」
言うが早いか、鳴宮くんは駆けだしていく。
「……Aちゃん、どうぞ」
「ありがと……」
手を水につけると、痛みが少し、引いた気がした。
ーーーー
「……ごめん、Aちゃん」
長いようで短い沈黙ののち、如月くんがぽつりと呟いた。
「Aちゃんを驚かせちゃったからさ。本当に、ごめん」
「そっ、そんな! 如月くんが気にすることじゃないよ! 今回のはちゃんと事故の部類に入るし、それに、こんな感じのこと、結構あったから……」
「結構……?」
「あっ、い、今のナシ! それより、鍋のアクとって!」
「あ、アク!?」
急な話の転換に、あたふたする如月くん。私は、無傷な右手でコンロを指さす。
「あの、ほら、アクをとらないといけないから!」
「だ、だよね!」
慌ててお玉を手にして、如月くんはアクをすくい始める。
私は、それを離れた所から見てるのだ、が。
……どうしても、いたたまれない。
代わりたい、申し訳ない! 申し訳なさすぎる! もういいよね? いいよね!?
「き、如月くん! やっぱ私代わる! 仕事押しつけるなんて申し訳なくて無理!」
けれど、如月くんは、にっこり笑って首を振る。
「大丈夫。オレ、これでも料理はできる方だから」
「でも……!」
「いっつも頑張ってんだからさ。こういう時くらいは、休んだっていいっしょ」
穏やかな笑顔に、引き下がらざるを得なくなる。
その後、鳴宮くんに氷を持ってきてもらった私は、手近な椅子を置いて、コンロの隣で手を冷やすことになった。
〜〜〜〜
「ねーねー如月くーん」
ルウを入れたカレーをかき混ぜていると、どこか不満げなAちゃんの声がした。見ると、かなり暇そうに脚をぶらぶらさせてる。
「ん?」
「如月くんって言いにくいから渾名つけたーい」
オレはカレーをかきまぜながら、何の気なしに返事をした。
「んー、普通に七緒でいいよ」
「じゃあ、ナオくん」
「……ちょ、オレの話聞いてないっしょ!?」
Aちゃんは「そこまで驚く……?」って顔だが、オレの発言はオール無視された気しかしない。
47.ニックネーム1号 (Side N)→←45.確かに当然ではあるけれども
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
今日の弓道男子
如月七緒
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Mashiro Lio(プロフ) - そうなんですね!私はこの間友達に相談したら、「いっそのこと全員分書いちゃえ!」って言われました笑笑 (2019年4月13日 17時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 誰を落ちにするかは、私も悩みに悩みましてアンケートにて決まりました笑 (2019年4月12日 23時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - ありがとうございます!実は誰落ちか未定&すごく長くなりそうな予感しかしないので少し不安(笑)なのですが、そう言っていただけるととても励みになります!ご期待に添えるよう精一杯頑張ります! (2019年4月7日 10時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 続きが気になります!湊くん、静弥くん、愁くんとの関係性もまたまた気になります!更新楽しみにしています^_^ (2019年4月7日 8時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - メイリさん» ありがとうございます!こうやって小説上げるのは初めてなので至らない所もあるかとは思いますが、ちょっとずつ頑張っていこうと思います! (2019年4月2日 7時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mashiro Lio | 作者ホームページ:http
作成日時:2019年3月4日 22時