4.行き着いた先で ページ5
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何も知らずに話し声の方へふらふらと向かった私は、声の主を見るなり絶叫しかけて、両手で口を塞いで耐えた。
──な、鳴宮くんと竹早くん!?
な、なんで!? え、なんで? なんで!?
なんで、あの2人が──?
混乱して、何がともなく怖くて、思わずその場から逃げ出そうとした。が、彼らが私に気付いて、えっ? という顔をする方が早かった。どうやら、人がいるとは思っていなかったようだ。
「おや、先客のようじゃの。君も、1年生かね?」
にこにこした小さなおじいちゃん先生のおかげで、まともな受け答えができるくらいには、心の落ち着きが戻ってくる。
覚悟を決めて、私は1つ、息をついた。
「えと、い、1年の瀬戸名Aです……」
「瀬戸名さんっていうんだね、ヨロシク!」
いちばん背の高い男子が、ぱああっと顔を輝かせる。
「おれは、山之内遼平! こっちの2人は俺の幼なじみの鳴宮湊と、竹早静弥! で、おれの担任の森岡富男先生! トミー先生って呼んでる!」
その男子――山之内くんは、そのまま4人分まとめて紹介してくれた。うん、鳴宮くんと竹早くんは知ってる。知ってる、けど……
鳴宮くんと竹早くんをちらりと見やる。
覚えてないかな……まあ、覚えてないよな。
こっちを見ても、顔色ひとつ変えないし。
もし覚えていたなら覚えていたで、きっとこの場の空気は非常に悪いものとなっていただろう。それでも、表情の少しでも変えるくらいはしてほしかった。それでたとえ顔をしかめられてしまったとしても、全く何も反応を示されないよりは幾分かマシだから。
苦い思い出であれ何であれ、それが思い出であることには変わりないのだから。
──そっか。ならば、もう今はいいや。
「は、はい。よろしくお願いします!」
辛い。苦しい。寂しい。……けど、なんとか笑って頭を下げる。
そして顔を上げて、ふと、思い出した。
「あ、竹早くんって新入生代表だったよね。大勢の前で話せるの、尊敬です!」
「それはありがとう。それにしても、1回しか名前言ってないのに、よく覚えてたね」
「……友達と話しながらだったけど、聞いてたから。よろしくね」
あえて、なるべく明るい声色で言った。この胸の奥に抱えた物が、決して彼らにバレないように。
私は人前で話すのが苦手だから新入生代表などは回避しようとわざと手を抜いたけど、その新入生代表を務めた彼は、入試の成績も1位であったらしい。……ならばきっと“また”良い戦いになるのだろう。
──私はまだ見ぬ戦いに思いをはせて、心の痛みを圧し殺した。
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Mashiro Lio(プロフ) - そうなんですね!私はこの間友達に相談したら、「いっそのこと全員分書いちゃえ!」って言われました笑笑 (2019年4月13日 17時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 誰を落ちにするかは、私も悩みに悩みましてアンケートにて決まりました笑 (2019年4月12日 23時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - ありがとうございます!実は誰落ちか未定&すごく長くなりそうな予感しかしないので少し不安(笑)なのですが、そう言っていただけるととても励みになります!ご期待に添えるよう精一杯頑張ります! (2019年4月7日 10時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 続きが気になります!湊くん、静弥くん、愁くんとの関係性もまたまた気になります!更新楽しみにしています^_^ (2019年4月7日 8時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - メイリさん» ありがとうございます!こうやって小説上げるのは初めてなので至らない所もあるかとは思いますが、ちょっとずつ頑張っていこうと思います! (2019年4月2日 7時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mashiro Lio | 作者ホームページ:http
作成日時:2019年3月4日 22時