さよなら、Dayflower【あんスタ】

幕間2.とある病室にて [前編] ページ38

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｢やあ、初めまして。来てくれて嬉しいよ。君は……｣


｢……はい｣


｢もう少し、リラックスしてくれていいんだよ｣


｢……初対面の相手には緊張する質でして。お気になさらず｣


｢ううん……過度の他人行儀は、相手に冷淡な印象を与える。今から話す内容を知っている僕としては、少し傷付く、かな｣


｢傷つくも何も、私達は他人ですが……｣


｢……いや。まあ、いいよ｣


｢で、ご用件とは｣


｢君に、僕達の仲間となってほしいんだ｣


｢仲間……？｣


｢そう。僕達の『学院』に来てほしい｣


｢『学院』？｣


｢そう。私立夢ノ咲学院、アイドル科。その発展に、貢献してほしいんだ。

もちろん、彼らと同じアイドルとして、ではない。あそこは、男子の入学しか認めていないんだ。そもそもの制度を変えるのは困難なことだし、君にも負担をかけるからね。

……この4月から『プロデュース科』のテストケースが始動する。そこに加わってもらいたい｣


｢…………｣


｢夢ノ咲学院は私立高だ。君の通う公立高よりも、遥かに設備がいい。校舎も綺麗だ｣


｢……期待にはお応えできかねます｣


｢おや、意外だね。好奇心に満ちた君ならOKすると思ったのだけど｣


｢何をおっしゃいます。過度の好奇心は身を滅ぼす。そもそも、私立校ですよね？｣


｢それは失礼、君を侮っていたね。さすがはIQ143、医学部進学も期待される優等生だ｣


｢っ……

……今、その話は関係ありません。以上でしたら、私はこれで。失礼します｣


｢おっと。席を立つのは、もう少し待ってくれないかい？｣


｢……何でしょう。
あと……手、放して、ください。握力がお強いのは、わかりましたか、らっ！｣


｢ああごめんね、痛かったかな。
ところで、君が断った理由はわかったよ。候補者選定のために、身辺調査はしたしね｣


｢ほう、さすがは天祥院のお家、でしょうか。……プライバシー侵害はご遠慮願いたいですが｣


｢心外だな、勿論だよ。
で、君が懸念していることも、勿論わかる｣


｢……でしょうね。うち、貧乏なので｣


｢そこはもう、手を打ったよ。
君の学費は天祥院家が責任をもって支払おう。もちろん返還も不要。今の高校に支払った学費は、僕個人がもつ。教科書代と通学費、あと何なら……食堂と購買の利用費も、僕が毎月一定額支給しよう。
君の親御さんにも、事前に話はつけてあるよ。

つまり、君の同意によってのみ、かつ同意した瞬間に、契約は成立する｣


｢親、ですか……｣





｢――うん、そうだよ。君の親御さん｣

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