22話 ページ25
[side Kazuki Ito]
公安に連れ出されて行った寛明さんは、なかなか戻って来ない。
俺は内心とても心配していた。何せ、相手が相手だから。
公安。
公安がここに調査依頼に来るなどまずない。ありえない。
それなのにどうして、公安は寛明さんに会いに来たのか。
寛明さんに何かあったのか。それとも寛明さんが何かやらかした?
やらかした?何考えてんだ、俺。んなわけあるか。絶対ない。
寛明さんはすごくすごく優秀で多彩な人だ。
俺が尊敬している上司は寛明さんだけだ。
寛明さんは部下が出来ることを嫌がる。
例えそれがどれだけ優秀な人でも嫌がる。
だからはじめ、俺が寛明さんの部下としてここに配属された時、寛明さんは滅茶苦茶嫌な顔をしていた。
それはもう、露骨に顔を歪めながら。
しかも、部下となる奴が奴だ。
当時の俺は、警察学校を出てすぐのひよっこ。
しかも、警察学校での成績は中間よりは上、上位層の少し下というなんとも言えない成績。
何か特別優れたものがあるというわけでもない、別に使えるような奴ではないが使えないほどのポンコツではない。
そんな奴だった。
そんな俺に、手取り足取り一から教えてくれたのは寛明さんだ。警察業務のことについてから、ちょっとやばいハッキング知識、それから俺らは機動部隊ではないのだからそんな知識いらない筈なのに、銃の扱い方やその他諸々まで。
寛明さんはやるとなったらやるという人だから、嫌な顔をしたのは初日の顔合わせだけで、そこから今に至るまでは一度も嫌な顔をされたことがない。
俺は寛明さんのことを絶対的に信用している。ここに配属される前から寛明さんの優秀だという噂は聞いていたし、実際寛明さんは噂通りの人だった。
だから、ミスという可能性、調査依頼という線は消された。
となると、何故。
いやまて、一つ可能性のあるものがある。
もしかして
それで寛明さんは上に呼ばれたとか。
…………嘘だろ。
いや、まてまて。それならきっと俺も一緒に呼ばれる筈だ。
ということは
バレていないよな。
131人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時