23話 ページ24
「あんたに用事があるのは俺じゃあない。俺はあんたを連れて来いと言われたから連れてきたまでだ。目的は何か、それはまだ話せない。何せここは人の目が多いからな。場所に着き次第、話す」
「わかった。ところで、俺には平泉寛明っていう名前があるんだが。あんたって呼ぶのはやめてくれ。俺、あんたとかオマエとかそういうふうに呼ばれんの大っ嫌いなんだよ」
秋山さんは訝しげに俺の顔を見ると、「メンドウな奴だな」と呟いた。
「悪かったなメンドウな奴で。」
秋山さんは、更にメンドウくさそうな顔をして、俺の顔を睨みつけた。
「チッ。わかぁったよ」
それからは、無言だった。
秋山さんは歩くペースを落とさない。
俺は早足で進みながら、秋山さんの顔をちらりと見た。
しかし一瞥するとすぐに正面を向き、素っ気なく言葉を紡いだ。
「なあ、秋山さん。」
「なんだ」
「俺を呼んだのは、裏の管理官か。」
秋山さんは一瞬驚いたように俺を凝視するが、また何事もなかったかのように、鼻を鳴らした。
秋山さんは質問に答えない。
そのまま黙々と歩き続ける。
警視庁を出て、警察庁に入った。
入るとすぐ秋山さんは何やらインカムに喋りかけている。
喋り終わると、俺を見て言った。
「こっちだ」
そのままエレベーターに乗り、どんどん上のフロアへと上がっていく。
ようやく止まり、降りると連れてこられたのは表から離れた所にある小さな小部屋だった。
「ここか?」
「いや、まだだ。」
一見何も無いように見える部屋だが、秋山さんが壁に手をかざすと、機械音とともに
壁が動き、動いた後には大きな扉が現れた。
「なんなんだこれは……」
さながら映画のような光景に俺が驚いていると、秋山さんは言った。
「驚いたか?わかっていると思うがこの部屋は警察庁の人間でも限られたヤツしか知らない。もしも、この部屋の存在を他言した時は………」
秋山さんは、親指を立てると自分の首の左横に当て、そのまま勢いよく右横に引いた。
「こうだ。いいな?」
「ああ。わかっている、他言はしない。」
俺の返事を聞くと、秋山さんはゆっくりとドアのノブに手をかけた。
「いいか、これから先軽口叩くんじゃねぇぞ。なにしろこの扉の先にいるのは平泉さんの予想通りの人物だ」
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作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時