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015:ディナータイム YH ページ16

彼は最大限に緊張している。

遥はそんな彼を気遣って

まずはいっぱい食べてねと言って

美味しそうな料理をジュネの前に並べた。





「すっげ……」
「あはは、俺の婚約者シェフ見習いなんだ」
「え。婚約者?」





ビックリした顔で俺と遥を何度も交互に見つめる。

何だかすごく歳の離れた弟みたいで可愛い。





「Aにもよく作ってあげたの」
「あ…」
「Aは元気…?」
「は…はい」





多分今頃心の中で

彼の中の本当のAの立ち位置が混乱しているはずだ。





「あのね、Aは…」





「Aは…僕の婚約者です」





せっかく俺が説明しようと思ったのに

振り返ると

深い眠りから目覚めたチャンミンが立っていた。





「え………あ………あの」
「驚かせてしまってすみません」
「ち、ち、ち、ち、ち…」
「はい、東方神起のチャンミンです」
「あ、あ、あ、あ、あ、お、お疲れさまです!!」
「キミの方が疲れてるよね、お疲れ様」
「めっそうも!!!」
「Aは…生きてるんだね」
「え…」
「突然姿を消したから…最悪の事も想像してた」
「…」
「飛行機には乗ったと聞いてるけど…本人かの確証もなかったしね」
「…」
「キミが助けてくれたんだね」
「あの…俺は…」
「ありがとう」
「あ」






フォークとかナイフとか

食べかけの料理さえも

今のジュネくんには何もかもが混乱を導くツールの一つに過ぎないだろう。

それなのに

窶れ果てて生気を失ったチャンミンに抱きしめられて

何だか可哀想だけど

俺は笑ってしまった。





「Aは!ちがバカ俺!Aさん!!は、…寝言で佐々木さんとか…ジョセフとか…」
「ああ、佐々木さんもジョセフも犬だよ」
「え」
「よりによって寝言で僕の名前じゃなくて愛犬の名前ですか」
「なんか…すみません」





何だよ佐々木さんって

よくよく考えれば ジョセフもどうかしてるけど

Aの名付けのセンスどうなってるんだ。

さすがの遥も笑いを堪え切れなかったらしい。

しかもタイミングよく奥の部屋からジョセフが登場したものだから

ジュネくんは 小さなマルチーズに向かって

ぼそっと呟いた。





「佐々木さん…ですか?」
「いえ、彼はジョセフです」
「す、すみません!!」





とにかく

萎縮しまくりながら

ジュネくんのディナータイムは

緩やかに過ぎていく。

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作成日時:2017年5月20日 0時

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