レベル44-past edition- ページ45
もし、ガルシアが生きていれば国民の混乱を解きまた平和な日常へと戻すことも出来ただろう。しかし元は平民出身のハンネルに授けられた「王妃」の肩書きは王族の血筋であるガルシアがいたからこそ成り立ったものであるので、彼を喪った今、彼女の盾となるものは残されていなかった。
(私では、もう何も出来ないのね······)
不甲斐なさに涙を溢す彼女は、腕の中で笑っている赤子を優しく優しく抱いた。
国民は止まらない。狂った歯車は止められず、このまま彼女の命が尽きるまで止まることはない。
「ウィングバン·ハンネルに罪状を言い渡す！地位を利用した国王殺害と、奇っ怪な能力で国中を混乱に陥れた。王妃の称号を剥奪し、三日後の早朝火炙りの刑に処す！」
遂に言い渡された罪状と余命宣告。最早彼女にはどうすることも出来なかった。
城内に押し寄せた国民の暴動によって働いていた者達は解雇され、残ったのはハンネルとオスワルト兄弟だけだった。
「我らオスワルト家は最期まで貴女の臣下であり続けると誓いましょう」
計画が知られていないと思いそんな言葉を放つガルダの張り付けたような笑みを前に、よくもそんなことを悪びれもなく言えるものだと激しい怒りが沸いたハンネルだったが、何も言わずにただ俯いていた。
＊
＊
ハンネル処刑執行の前日の夜更けに、彼女はゆりかごで眠る幼子を腕に抱いて城を飛び出した。
勿論、警備が強くなっているので正規のルートからは脱け出せず、彼女だけの力では不可能だった。
そんな彼女に手を貸したのは、皮肉にもオスワルト·リーズだった。彼女の中で既にガルダの信用は失っているので、その弟であるリーズにももうあまり信用を寄せていなかった。
素っ気ない態度を取るハンネルだったが、それでもリーズは彼女を外まで送り届けた。
彼は自分の兄が恐ろしい計画を立てていることを何となく察していたが、止めることが出来なかった。その結果こんな事態を起こしてしまったので、負い目を感じていたのだろう。
「どうかご無事で」
リーズが本当に逃がそうとしてくれていることに気付いたハンネルだったが、彼女の中で出来た覚悟はそう簡単には揺るがなかった。
彼女が下した決断は、この島から逃げて平和に暮らして欲しいと願うリーズの心からの思いを踏みにじる事になる。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
