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ドレスアップすると女は化ける。
そんなの当たり前であろう。Aもまたその中の一人であった。
中原「おお、随分綺麗じゃねえかA。」
「どうも…」
齢22のAは年相応、フレアな黒のワンピースドレスに身を包んでいた。
「中也も今日もいい感じだね」
そういう中原はワインレッドのシャツに紺色のスーツという格好に身を包んでいた。
森「じゃあがんばってね。呉々も自分の身を守ることを忘れないで」
「了解です、首領」
「あと、」
Aは言葉を続けた。
「約束通り、休暇はいただきます。中也と1週間」
中原「おい、A。」
森「いいよ、ゆっくり休むことも必要だ」
「それじゃあ行ってきます」
黒服の運転する車に乗り込むためにまずは駐車場へと足を進める。
構成員たちはAに釘付けである。最も、そもそも此処ポートマフィアには女は数える程しかいない。見蕩れるのも当然であろう。
しかし見蕩れていた構成員たちはAの背後を見て顔を青ざめるのだった。中也は今にも人を殺しそうな顔してAの後ろでガン飛ばしていた。
芥川「A。どうしたそれは」
「任務。」
芥川「色仕掛けか?」
「や、多分ないけどあったらやる。」
芥川「…精々気をつけろ。」
「了解。ありがとね」
芥川にも心配されてちゃシャレにならない。
気を張ろうとしたときに突然後ろに引っ張られた。
中原「A。色仕掛けはどういう事だ」
「どうもこうもそのままです」
中原が後ろに構えていたのを忘れていたAは先刻の芥川を恨んだ。
中原「外せ敬語」
「…中也に関係ないでしょ。これ任務だよ」
中原「ダメだ。他にいただろ。何故手前なんだよ」
「殺すから。」
中原「は?」
「殺すんだってば。色事の前に殺す。」
これだけ言えば大丈夫だろう。Aはここで初めて中原の顔を見た。
中原「…気に食わねえ。」
「…え…?」
中原は唯一無二の大事なものを傷つけられるのが極めて苦しいと言ったような狂おしい、そんな目をしていた。
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作者名:テオ | 作成日時:2017年9月6日 20時