24 夢主side ページ25
コンコン…
自分の部屋…中也の部屋だが珍しくノックの音がした。
読み始めて2時間は過ぎていただろうか。
「中原さんならいませんけど。」
太宰「太宰だ。」
「…如何しましたか太宰さん」
太宰幹部。そう呼ばなかったのは彼がマフィアではなくなったと本能がそう言っていたからだろうか。意識もせずにぽろりと口から滑り落ちた。
太宰「太宰幹部って呼ばないのだね」
クスリと笑った太宰さんは心に何かを決めていて、私に報告しに来たようにも見えた。
「ええ、だって、太宰さんがそう呼んで欲しく無さそうでしたよ。」
太宰「やっぱりAちゃんは苦手だなぁ」
そう言って太宰さんは苦笑した。
太宰「ポートマフィアを抜けようと思うんだ。人を救う側に立とうと思っている。」
「織田さんに入れ知恵でもされましたか?」
太宰「その通りだよ。ただ、私は沢山の罪を犯した。私は罪深く愚かだ。そんな人間が織田作が言うように人を救う側に立てると思うかい。こんなにも、汚れているのだよ」
「…お言葉ですが太宰さん、人は皆、罪深く愚かです。だからこそいいんじゃないですか?1人の友人の道標何でしょう。私がどんなに止めても貴方は其方に行くんでしょう。」
止めません。そう言って私は笑った。
太宰「…Aちゃん、君も一緒に来ないかい。」
「太宰さん、答え分かっているんでしょう。」
太宰さんの右手には黒い外套が握られていた。幼い頃にでも着ていたものなのだろう。サイズが小さい。
太宰「Aちゃんなら、そう言うと思っていたよ。君は中也に忠実だからね」
これあげるよ。そう言って太宰さんは黒い外套を差し出した。
「貴方に負けないくらい、強くなります。」
太宰「嗚呼、最後まで君は気に食わない。きっと此の先ずっとだ。」
「私も__太宰さんのことは最後まで苦手でした。お元気で。」
またいつか会おう。
もう2度とその顔面見せないで下さい。
酷いなあ、これでもモテたのだよ?
はいはい。早く出て下さい。
そのやり取りを最後に
パタンと扉が閉まった。
こういうやり取りももう此処では出来なかったのだ。最後が本当にこれで良かったのか。
否、これが良かったのだ。
「(その包帯だらけの顔面は2度と見せるなよって、そういう意味ですよ太宰幹部。)」
私はそ太宰さんならきっと分かっている。そう思い、読みかけの本を閉じて目を瞑った。
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作者名:テオ | 作成日時:2017年7月13日 15時