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Aは知らなかった。
ポートマフィアが今大きく二つの問題を抱えていた事など中級構成員であったAに知る由もなかったのだ。
太宰治と首領が直接関与していた、首領の専属諜報員坂口安吾の失踪とミミック。
幹部である尾崎紅葉と上級構成員中原中也が直接関与する東部の勢力鎮圧。
後者の方に関わり、中也の汚濁で何とか鎮圧させたことで一件落着となったこちらは莫大な損害も無く、事なきを終えていた。
前者の莫大な損害とひとつの大きな利益にポートマフィアを湧かせていた。
「異能開業許可証…?その取得のために、織田さんは死んだの?」
先日の報告書を朝のうちに纏めて、昼食後に中原と首領に提出に行った帰りの事だった。
ポートマフィアの二つの問題が解決したということ、異能開業許可証が手に入ったということ、そして、
織田っていう最下級構成員が死んだってAに伝えてくれって芥川が言ってたぞ。という中原の言葉にAは驚かされていた。
中原「そうだ。最下級構成員が死んだということだけなのにそんなに目を丸くする事かよA。」
織田作之助が死んだ。ミミックの構成員と相打ちだそうだ。
「いや、少し知り合いだったから、何となくショックなだけだよ。」
Aは内心焦りもあったが、悲しみもあった。それ以上に心配だった。
「(太宰幹部は…)」
中原「よく分かんねぇけど、今日は非番だからゆっくりしておけよ。」
梶井と飲みに行くが手前も行くか。という中原の誘いにAは珍しく乗らなかった。
胸騒ぎがしたからだ。
「自分で帰ってこれるくらいにしてよ中也」
中原「わーってるよ」
行ってらっしゃい。気をつけてね。そう声をかけたAは気になる胸騒ぎを抑えてそのまま読みたいと思っていた戦術書に目を落とした。
時刻は午後5時を示していた。
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作者名:テオ | 作成日時:2017年7月13日 15時