四十三 手遅れ ページ45
『愚鈍だな…私は鈍すぎる…』
「A_!!織田作__が…っ」
「Aわたしは…どうすれば良い…?」
太宰が呟いた一言は病室内に響くこと無く吐き捨てられた。
私は病室からすぐさま出て、軍刀を握って…外套を取った。
靴なんか履いている暇は無かった。
息が切れるほど走った。
転んで血が出て。
でも止まれない。
そんな酷い痛みなんか忘れた。
酷い雨の所為か私は上手く走れない。
酷い結末を考えていた…まだ希望はあったはずなのに…
この先に居る…
はっ…はっ…どんどん過呼吸になって。
酷い顔をしながら走って。
ある場所を横目に走った。
爆発痕が沢山あって…
私は怪我で寝てる場合じゃ無くて
結局気づいた。
『…私は…自分の価値を証明している暇じゃ無い………』
矢張り私は愚かだ。
『織田作___っ!!!』
文字では表せられない位に彼を呼んだ。
全てが遅かった。
彼処で撃たれてなかったら?
私は___心がぐしゃぐしゃになって。
泣く事しか出来なくて。
何も考えられなくて。
『…っ』
37人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黎明 | 作成日時:2023年9月2日 17時