三十四 お墓 ページ36
『流石に無理があります…首領』
「そうだねぇ…人員を補充しようか……と云っても私出来ることあるのかなぁ…ねーA君…どうすればいいと思う?」
『そうですねぇ……でももうすぐで終わると思いますよ?』
抗争は八十八日にも渡った戦いだった…云っちゃえば相打ちだ。
「それは何故だい?」
『相手の兵力も兵站もは無限って訳でも無いですし…澁澤龍彦と云う男が敵の戦力を削ってくれましたしね…実質相打ちです…相手も分かっているなら戦いは自然消滅しますよ。』
『もういっそ諦めるのはどうです?』
「A君…いい案だ!お礼にこのドレスを…」
『お褒めに頂き光栄です失礼します』
私は"ある"所へと向かった。
そこに行ったら会えるかもしれなかったからだ。
部下のお墓…カモミールが風に揺らされている。
『こんにちは。』
「あぁ…久しぶりだなA。」
私は織田作の隣に座る。
「お前は…殺した人の顔を覚えているか?」
突然の一言に驚いたが、私は変わらず返答をする。
『今でも覚えている…百人近く殺した今でもね…苦痛にもがく人も…恐怖に貶められた人も。』
『…人を救って命が戻る訳でもない…だけどせめて忘れない事が私にとっての償いって信じてる。』
『罪を犯した人は正義にならずとも…大義にはなれるはず…私は善人を救うなら私が悪になっても構わないから。』
「そうか…俺はもう、覚える事すらも忘れていた。」
迷いなんて無い。
「…そうか、お前は悪には向いて居ない今からでも間に合う。ポートマフィアを裏切れ。」
でも迷いがあるとするなら。
『君に云われると説得力があるなぁ…一つ、我儘を云ってもいい?』
君の小説が見れない事と…前世の我儘を叶えてやれなかったことだ。
「お前を救えるなら…どんな願いでも構わない。」
『君の書いた小説を…見てみたいんだ。』
「…分かった。」
私は立ち上がり____口を開く。
『君の様な善人には生きて欲しいんだ…それじゃ…生きていたら会おう。』
「嗚呼…」
尚更死なせる訳にはいかないね、
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作者名:黎明 | 作成日時:2023年9月2日 17時