Seventy-three ページ26
ゆっくりと、まるで逃げても無駄だと言わんばかりに視界に広がっていく光を見上げて、彼は目を閉じた。
その瞳は青から緑へと戻る。
「いいのかなルイス。言っておくが、私の宝具を発動させれば高確率で即死する可能性が高いが？」
バッキンガムへと戻った彼は、
彼が言う通りバッキンガムの宝具を発動すればその特性上、高確率で死から免れることは不可能。
それでも依代の青年は首を縦に振るう。
“確かに俺は彼女と会って伝えたいことがあります。ですが、お世話になったここの人達を捨てることはできません“
「……お人好しだな。目的があるのなら例え誰が野垂れ死のうとも達成させるものだ」
だが。
「百貌のにこの村の警備を任されているからね。私もまたナイフをもらうのは御免だ」
優しげに微笑んだバッキンガムは、自身のトレードマークと言っても過言ではない羽付きの帽子を被り直すと魔力を解放する。
季節外れの蛍が発光するかのように、彼の周囲を漂い始めた。
”公爵のようなお方が力を貸していただけて、よかったです”
「私も、貴殿に力を貸して正解だったよ、ルイス」
口角を上げて笑ったバッキンガムはそういえばと呟く。
「藤丸にも一つ訂正を入れねばならないな。確かに私はあの時否と貴殿の問いに答えたが、それはジョージ・ヴィリアーズとしてだ」
すまないね、と続けた彼は迫り来る光のそれを見据えて真名解放を、宝具を解放する。
「刮目して観覧するといい！」
ジョージ・ヴィリアーズという人物は以前、マシュ達が説明した通り三銃士としての彼が有名だろう。
しかしながらそれを宝具にできる程、彼は物語に語り継がれてきた彼とは少しばかり違っていた。
では何が宝具として使えるのか。
「我が大英帝国きっての堂々たる豪華絢爛な調度品の数々、近衛兵、そして昂然たる我が爵位の名がある宮殿を」
村を守るかのように次々と現れてくるのは英国を代表する宮殿の建築物と、それを守るための赤服に黒い帽子を被った衛兵達。
彼は、ジョージ・ヴィリアーズとしてではなく彼が王より下賜された最高位の爵位の名から宝具を展開したのだ。
「その威光、その栄光に貴殿等も預かりたまえ」
恭しく一礼をした彼は高らかに、未来永劫と続くと信じているその輝かしい宮殿を警備する近衛兵達の前に立った。
「
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
