狐の婿入り【三途春千夜】

狐✕１１ ページ11

買い物も終わり
お店を出た

結局 三途春千夜のプレゼント選びに
あたしもアドバイスをして

何とか選び終えた


あたしはモヤモヤした気持ちを抱えたまま

来た時と同じように
三途春千夜のあとをついて歩いた

違いがあるとするなら
それは


"手を繋いでいない"こと


人肌恋しいって
こういうことのことを言うんだな


今日のあたし、なんか変だなぁ


そう思いつつもお互い無言で歩き続けた

ほら、あたしにとっては手を繋いだり
こうやって傍から見たらデートみたいな

ことをするのも、
三途春千夜にとってはなんともないんだ

カノジョさんとも、こんな風にいつも
一緒に歩いて 手を繋いだりしてるのかな

マスクの下に隠された素顔も
その人なら知っていたりするのかもしれない

顔も、どんな人かも知らない人に
あたしはなぜだか嫉妬してしまっている

なんだか、自分が尚更
憐れに見えてきて 胸が苦しくなった



ダメだ、勘違いしちゃいけない


コイツにとっては
あたしはただのクラスメイトで

"たまたま隣になった隣の席の女"にすぎない


もしかしたら、

今のあたしのいる場所は
"他の誰か"だったかもしれない


そう思った刹那
あたしの思考はプツンと音を立てて切れた


足が動かなくなったのに気付いて
三途春千夜は立ち止まり振り返る


春「何止まってんの？」

『贈り物選び終えたので
私帰っても大丈夫ですよね

最寄りの駅があるのでここで失礼しますね』

そう一方的に告げてから
私は向きを変えて歩き出した

春「ふーん、あっそ

···おいチビブス 待てよ」

『なんですか』

春「ほら、コレ」

『わっ···いきなり投げないでください!!』

春「うるせ

んじゃ、また明日な」

そう言って
また自分勝手に帰っていく狐


え···これって


『私がさっき見てたウサギ···？』


.

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