第９０話 その幹部、分析。 ページ43
感覚は落とし穴だった。足元が急になくなって、垂直に落ちる。けど転ぶ事は無く、ストンと足が地面についた。リーラも戸惑ってるのかウロウロしている。
リーラにメイド服の裾を噛むように言ったのか、じゃれるように噛みついていた。毛並みが脚に当たってそんな気がした。
「すげ……真っ暗だ」
上も下も、どこを見ても真っ暗。暗いって言葉だけじゃ表現しきれないくらいの黒一色は、果てが見えない。触れている感じも無いし、匂いも無い。月明かりの無い夜の森よりも暗い。
「なぁ、もう少しだけこの空間に居ても良いか」
袖を引っ張ると足が止まる。あ、会話ができないんだ。さっき言われたばかりなのに。
「良いなら掴んでる手に一回、ダメなら二回指先で触れてくれないか」
条件を設けて同じ質問をすると、トンと一回だけ小さい刺激が届く。記憶に残して戻ったら紙に起こそう。
袖を摘まんだまま、空いた手を伸ばしてみたり、地面に触れてみたり。何か投げてみてもよかったけど手元に良さげな物は無い。果ての無い空間って感じかな。
「なぁ、足音はするのか？声は聞こえてるんだろ？」
少し間が空いてから、また一回触れる。靴の素材次第か、通ってる陰がある建物次第か？俺は革靴で、Aは多分ブーツだからほとんど同じ足音のはず。他の経験した奴等にも聞いてみるか。
「陰の中だと、Aは溶け込むんだな」
この空間だと、Aはほとんど同化してしまうのか。明かりの無い空間に、あの白黒でできた姿が見えないのは、少しだけ不安だった。掴んでいるこの手を離したら、本当に取り残されてしまう錯覚に、袖を摘まんでいた指に力が籠る。Aがそんな事するはずないって、確信はしているのだけども。
「体感長かった気がする」
「資料はこちらにございます。いかがでしたか、陰の中は」
「有意義だったよ。我が儘に付き合ってくれてありがと」
やっぱり顔見て話せるのって良いな。あの空間は興味深かったけど、何も聞こえないのはやっぱり恐怖だ。Aが居てくれるから、平気だったかもしれないけど。
第９１話 その幹部、どぎまぎ。→←第８９話 そのメイド、運ぶ。
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紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@端末垢 - にゃーちゃんさん» 初コメありがとうございます！夢主ネロちゃんが刺さってくださって嬉しいです！もうすぐ続編に進みますが、完結までお付き合いくださいませ〜〜！ (11月30日 14時) (
レス) id: 15e99861f0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！めためたに好き過ぎました…!!面白過ぎて、一気読みしてしまうくらいに好きです！夢主ちゃんがどストライク過ぎた…更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (11月29日 22時) (レス) @page44 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
Ray(プロフ) - 紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@端末垢さん» ええええっ？！この場をお借りして､読んで頂いてありがとうございます…！これからも更新お待ちしてます…！ (9月28日 23時) (レス) id: d88e598144 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@端末垢 - Rayさん» コメントありがとうございます！ひょぇ、まさかの拝読してる作品の作者様がコメントくださるとは……!!!!有能だけどマイペースなネロちゃんをよろしくお願いします！ (9月28日 21時) (レス) id: 15e99861f0 (このIDを非表示/違反報告)
Ray(プロフ) - 有能メイドが好きなので何度も読み返してます。更新頑張って下さい…！ (9月28日 1時) (レス) id: d88e598144 (このIDを非表示/違反報告)
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