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わたしの王子様_1(剛士) ページ32

真っ白な壁にはいくつも絵画や装飾品がかかっていて、さらに視線を上へ向ければ突き抜けるような高い天井から豪奢なシャンデリアがいくつも垂れ下がっている。ぽかんと見上げた頭の重さに体が揺れて、支えるために左足を半歩引けば、かつりとヒールの底が高らかな音を立てる。そんな体の動きと共に、薄青色をしたドレスの裾がひらりとなびいた。

「始まりますよ」
「え?」
「お手を」

どうぞ、と差し出された大きな手には白い手袋が嵌められていた。そこで初めて、目の前に立っている彼の存在に気づく。
ああ、そうか。
今は舞踏会の最中だということすら、わたしは忘れてしまっていたみたいだ。色とりどりのドレスコードも艶やかな、花咲くこの舞台の真ん中にわたしたちは立っている。彼の肩越しに、わたしたちと同じように向き合った男女が音の始まりを静かに待っているようだった。
ヒールを履いたわたしよりも尚少し高い場所にある彼の顔を見上げる。いつもならぶっきらぼうな視線しか向けないその赤い瞳も、今ばかりは優しく細められていた。
小さく浮かべられた微笑みが、わたしの鼓動を一段と高鳴らせていく。一度視線が合ってしまえば、もう逸らすことなんてできなかった。
見つめあったまま、その瞳に促されるままに彼の掌へ指を乗せれば、ぴったりのタイミングで音楽が始まり、緩やかな三拍子が刻まれていく。繋いだ右手は優しく持ち上げられ、反対の手が腰へ回り、そっと引き寄せられた。

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設定タグ:B-project , 夢小説 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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keizi-yuki(プロフ) - まほしさん» 面白いです!!まほしさんにお聞きしたいことがあるのですがお聞きしてもよろしいですか?僕も今Bプロの小説を書いているのですがお互いの呼び方がわからないので教えてもらうことってできますか? (2018年6月2日 16時) (レス) id: d1d4e10695 (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - まほしさん» ご解答ありがとうございます〜。楽しみにしてます!! (2017年8月4日 21時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» リクエストは特に募集はしていませんが、書けたら書くし思いつかなければ書けない…という感じです。言っていただいたのにすみません(汗)ただ、次は和南くん夢アップする予定なので、書きあがったら読んでいただけたら嬉しいです^^ (2017年8月4日 12時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» こんにちは。いつも読んでいただき、ありがとうございます!これからもマイペースに頑張りますので、また読んでやってくださいませ。 (2017年8月4日 12時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - 個人的なお願いですが、竜ちゃんと和南お願いしたいです。リク受付なさってなければごめんなさぃ(/_・、) (2017年8月3日 23時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほし | 作成日時:2017年6月9日 21時

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