甘さより、苦味より_2 ページ20
しばらくして、ピンポンとチャイムが鳴る音がする。律儀な奴だ。渡した合鍵がドアに差し込まれる音がして、「こんばんは」みかの声が聞こえた。
「お疲れ様です」
「みかこそ、お仕事お疲れ様」
顔だけ部屋の入口に向けると、…うん、いつも通りのみかがいた。姿を見て、張りつめていた心が少しだけ和らぐ。みかはわたしを見てふっと微笑み、持っていたビニール袋を少し持ち上げる。
「差し入れ、買ってきましたよ。コンビニスイーツですけど」
「こんな時間なのに女子相手にスイーツとは」
「お好きでしょう?それに、疲れた頭には糖分と言いますからね」
それから、とみかはビニール袋の中に手を差し入れて、
「頭を無理に働かせるためのカフェイン摂取」
「んーみか最高。ありがと」
取り出した無糖コーヒーは数あるコンビニに並ぶ種類の中でもわたしが特にお気に入りのものだった。みかも仕事で疲れてるだろうに、そんな気遣いが嬉しくて、パソコンとにらめっこして張った頬も緩むというものだ。
「と言っても、あまり無理はしてほしくないんですけどね?」
「ごめんね、遊べなくて」
「…そういう意味で言ったわけではないですが」
まあ、Aさんらしいですね。みかは眼鏡の奥の瞳を細めて笑う。
「待ってますから。終わるの」
「うーん…終わるかわかんない…」
「それでも、待ってます。大丈夫、僕夜更かしには自信ありますから」
「あんまり健康に良くない自信だと思うよ」
「アイドルとオタクの両立はそもそも不健康ですからね、今さらどうってことはありません」
はい、と渡された袋の中身を机の脇に並べて、コーヒーのキャップを開ける。甘い物はもう少し後に取っておこう。みかは慣れたようにベッドに寝転び、スマホを取出した。きっと最近ハマっているゲームでもするんだろう。ちらりと時間を見た。まだ日付は越えてないけど、明日になった辺りでみかには寝てもらうように声を掛けよう。
邪魔しないようにか、音を出さないようにしてくれるみかの優しさを感じながら、コーヒーを一口飲む。じんわりと苦味が心地よく広がった。
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keizi-yuki(プロフ) - まほしさん» 面白いです!!まほしさんにお聞きしたいことがあるのですがお聞きしてもよろしいですか?僕も今Bプロの小説を書いているのですがお互いの呼び方がわからないので教えてもらうことってできますか? (2018年6月2日 16時) (レス) id: d1d4e10695 (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - まほしさん» ご解答ありがとうございます〜。楽しみにしてます!! (2017年8月4日 21時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» リクエストは特に募集はしていませんが、書けたら書くし思いつかなければ書けない…という感じです。言っていただいたのにすみません(汗)ただ、次は和南くん夢アップする予定なので、書きあがったら読んでいただけたら嬉しいです^^ (2017年8月4日 12時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» こんにちは。いつも読んでいただき、ありがとうございます!これからもマイペースに頑張りますので、また読んでやってくださいませ。 (2017年8月4日 12時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - 個人的なお願いですが、竜ちゃんと和南お願いしたいです。リク受付なさってなければごめんなさぃ(/_・、) (2017年8月3日 23時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほし | 作成日時:2017年6月9日 21時