《B-PROJECT》みじかいゆめ

王子様の素顔_5 ページ19

「Aさん、どうして僕がこんな日のこんな時間にマミリン観賞会なんて言い出したと思ってます？」
「……？」

ミカちが何を言いたいのか、よくわからない。
腕の力が緩み、肩に手を置かれてくるりと方向を変えられた。ミカちに向き合う。眼鏡の奥の瞳は、楽しそうな光を宿している。


「欲しいものがあったからです。この日、この瞬間に」
「…ミカち」
「今くらい、帝人って呼んでください」



す、と。帝人の人差し指がわたしの唇に寄り添った。



「プレゼント、くださいますか？プリンセス」
「…うん」

端正な顔だちを優しく微笑ませて、そっと距離を近づけてくる。わたしは全身に響くどきどきに身を任せて、そっと目を閉じた。





最初は、なんて格好いいんだろうと感嘆したものだった。まるで童話から抜け出した王子様みたいだと思った。だけどそれは見た目だけ。実際はうるさいくらいに賑やかで、重度のオタクで、変態で、人の話を聞かなくて、引くほど喋って、そんなどうしようもない人。
だけど好きなものには真剣で、ときどき甘い言葉でわたしを虜にしてしまう、そんな、どうしようもなく、大好きな人。

「Aさん」

距離が零から少し離れ、帝人は珍しく、照れたように笑った。

「ごちそうさま、です」

そんな一言に、わたしの胸は一段と高鳴るのだ。


ハッピーバースデー、
わたしの王子様。




(おわり)


みか、誕生日おめでとうー！！

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