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天気と探偵 ページ20

暖かい……。

身体の芯から暖まる感じがする。


「あんたも飲みな」

にゃー!

『シロの分まで……!ありがとうございます。』


「そういやまだ、名前聞いてなかったね。妾の名前は与謝野晶子。」

『私の名前は上原Aです。この度は本当にありがとうございます。』

何度もお礼を言った。

すると

ザァー……

雨音が先刻よりうるさい。
雨がかなり降ってきたようだ。

「おや……、こりゃ酷いね。」

『……ですね。』

墓参りは済ませたから本日やることは特にない。

雨が降っているなか
自宅に帰るまでは恐らく憂鬱だろう。

けれど、此処までしてもらっておいて、
雨が止むまで居させて貰うのは図々しい。

では、どうやって帰ろうか。

この時ばかりは後悔を覚える。

"傘を持ってくれば良かった"と


そう考えていると、それを見越してか

「……与謝野さーん、Aが家までの帰り方で
悩んでるみたいだよ?」

と与謝野さんに伝えたのだ。

「そうなのかい?困ったねぇ。
妾はこの後用事があるし、
敦達はまだ帰って来ないだろうし。」

『いっ……いえ!私達は歩いて
家まで帰りますから!』


「……ならさ、僕が送れば良いじゃん。」


恐らく今の私の目は
点になっているのではないかと思うくらい
驚愕している。


「……!乱歩さんが……珍しい。」

「ん?なんか言った?」

「……いや、何でもないよ。A、
乱歩さんが送るって言ってるんだ。
有り難く送ってもらいな。
その方が妾も安心さ。」

にこやかに微笑みながら言うその姿は
本当に美人だと思う。

此処までしてもらって、
迷惑じゃないだろうか。

途端に心配になってくる。


『あの、迷惑じゃないですか?』

「……迷惑と思うのなら最初から
ほっといてるんじゃない?」


確かに。


「じゃ、僕は社長に伝えてくるから
荷物持って待ってて。」


「良かったじゃないか!乱歩さんが自分から率先して行動するなんて珍しいよ。」

珍しいって、普段はいまみたいとは
違うって事か。

『そうなんですか?今日は、
何から何までありがとうございました。』

今日で何回お礼を言っただろうか。

それでも感謝の意を込めていること、
伝われば良いなと思っている。

「良いんだよ、乱歩さんの珍しい一面も
見れたしね。帰る時足元には気を付けなよ。」


「それじゃ行こうか。」

いつの間にか戻っていた乱歩さんの隣に
シロを抱えて並び雨の降るなか

自宅へと向かうのであった。


……一本の傘で。

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千羽(プロフ) - ただの本好きさん» 間違いを指摘していただき、ありがとうございます。本日修正しておきました。 (2019年7月13日 10時) (レス) id: 09d732a1d4 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - すみません、あの・・・異能力が居能力になってます。 (2019年7月13日 7時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
ハルイチ(プロフ) - モブの太中さん» ありがとうございます。不定期更新ですがこれからも応援よろしくお願いします! (2019年2月1日 18時) (レス) id: 09d732a1d4 (このIDを非表示/違反報告)
モブの太中(プロフ) - とっても面白いです!更新頑張ってください!応援してます。 (2019年1月30日 22時) (レス) id: 7599fd34ad (このIDを非表示/違反報告)
ハルイチ(プロフ) - にんじんさん» ありがとうございます。不定期更新ですが、これからもこの作品を読んでいただけたらと思います。不定期更新ですが、許してください。(汗 (2019年1月24日 10時) (レス) id: 09d732a1d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千羽 x他1人 | 作成日時:2018年11月26日 0時

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