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陸拾陸 “〃 (13)” ページ24

ヨコハマ街中───。





首領との会話を終えた私は街を駆けていた。
今日は一段と抗争の爪痕が凄い。
右を向いても左を向いても死体の山だ。


同僚である黒服達に混ざって、ちらほらと一般人のモノ迄あるのが判る。
恐らく逃げ遅れてしまった者達だろう。


五分程走り続けると横転した車の近くで見慣れた赤毛の男性が片膝をついて座っているのが見えた。
若しかして怪我でもして動けないのだろうか?




『作之助さん!……おや、その子は?』




近寄ると彼の腕の中に小さな女の子がいた。
目元は泣いたのか赤くなっていて、嗚咽を漏らし乍ら、その小さな掌でギュッと作之助さんの襟衣を掴んでいる。
年齢的には十にも満たないと思うが……




「今見つけた。恐らく生き残りだ」


『……ええ、その様ですね』




作之助さんが子供に見せない様にしつつ車の方を指さしたので視線を移すと若い男女……恐らく夫婦であろう者達だったモノが転がっていた。


この子には目立った被害が無いのに比べて、夫婦の背中には硝子片が刺さり、血がべっとりと付いている。
つまりは子供を庇って逝ったと云う訳だ。




「ヒック、……うぅ……」


『辛いだろうが今はゆっくり眠れ』




女の子の頭を数回撫でると、泣き疲れていたのか直ぐに眠りについた。
そして同時に耳につけていたインカムからザザッとノイズ音が聞こえる。
作之助さんの方も音が聞こえたのか左手でインカムを押さえていた。




<織田作、A>


「太宰、何処だ!」


『太宰さん、御無事ですか?』


<安心して大丈夫だよ。それよりも、何をしているか大体察しがつくけど早くそこから逃げろ。そこも直ぐに危険になる>




丁度その時、遠くからエンジン音を鳴らし乍ら物凄い速さで何かが私達の横を通り過ぎる。
通り過ぎた物体を目で追うと赤い車体が見えた
アレは確か中也さんの二輪車だったか……相変わらずヘルメットを着用していない処が危なっかしい。




<引っ込んでろ、三一(サンピン)!Aも危ねぇから早く逃げろ!>


<はーあい、中也。敵の射程に入ったから弾受けて死んでね>


<うるっせえ>




中也さんが来たという事は、私達は一刻も早く此処から離れるべきという事だ。
__もう少しで此処ら一帯全て塵と化すのだから。




『御二人共、どうか御無事で……では、作之助さん。敵の異能が此方に向く前に、その子を連れて一旦此処を離れましょう』


「ああ、そうだな」

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黒龍(プロフ) - Mさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います^^ (2019年11月23日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
M - とてもおもしろかったです。 (2019年11月23日 1時) (レス) id: 5a0fa58d7d (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - りーこさん» 有難う御座います!頑張って続き書いていきますね (2019年6月24日 12時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - 続きが楽しみです (2019年6月24日 6時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2019年6月21日 21時

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