No.240 ページ2
「チェックメイトだよ！！」
青海のギラギラとした
獲物を狩るような竜の目が5人を射抜き
震い上がらせる。
十文字青海は強い。
それは戦う前から知っていたが、
ここまでとは思わなかった…と、B組の誰しもが思った。
足が使えなくなったのが嘘のように、
空を自由に翔け、翻弄する。
「何なんだよ…！
十文字さんの力はどうなってるんだよ…！」
「「「「………」」」」
目の前には青海が作り出した風の竜。
大きく、凄まじい威圧感のそれに、
面々は冷や汗をかいた。
「私だけの力じゃあ無いわ。
これはみんなの力。」
「は？」
「この竜は確かに私自身が作り出したものよ。
だけど、それは“土台”でしかない。
グレープジュースの“もぎもぎ”、ピンキーの“酸”、
ウラビティの“無重力”、デクの“超パワー”。
みんなの“個性”を合わせればこんなもの、
お茶の子再々！！」
ニッと得意気に笑った青海に
もう一度竜を見上げる。
確かにその竜には峰田の“個性”が見え、
芦戸の酸も渦巻いてる。
きっとあの風の中に浮いてる瓦礫は緑谷が壊し、
麗日が浮かせているのだろう。
グォオオオオ！と咆哮を上げる竜に足が竦む。
だがヒーローに憧れてここにいるのだ、
目標を前に諦めない。
心操は足を踏ん張り、
腰を低くする。
その思いを感じたのか、青海は微笑む。
…が、その微笑みは直ぐに勝ち気な笑顔となり
腕を振り上げた。
「やれ」
だが、相手に…なりよりこれからヒーローになろうとしている者に不足は無い。
「(ちくしょう…
あの時とは違う俺を見せてやれるって…
楽しみにしてたんだぜ。
どいつもこいつも…留まる事なく動きやがる。
ちくしょう
凄いなァ、ヒーロー科)」
新しい卵を見つけたと、嬉しそうに笑って、
静かに口を開いた。
「おめでとう、心操くん。」
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