Love Situation【ars短編集】 (ページ31)

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＜Oside＞

泣きながら走る俺をすれ違う人は変なものを見るような視線を俺に向ける。

翔くんが幼馴染みとしてでしか俺を見ていないって分かってた。

分かってたことだけど

実際本人から面と向かって言われるとやっぱり傷つくもんで

走って乾いた目がじわぁ……と滲んだ。

辿りついたのは屋上で

誰もいないのをいいことに、俺はその場に寝転びいっぱいに広がる青空を見つめた。

分かってた。とか言ってるくせにね

心の中でちょっと期待してたんだ。

毎朝懲りずに俺の家に来てくれるのは

もしかしたら俺の事好きなんじゃねえかって。

だって普通じゃ有り得ないことだから。

特別な感情がなきゃ毎朝毎朝起こしにこないだろうって。

でもお母さんみたいな翔くんのことだから

特別な事がなくても来てくれてたんだ。

智「……自惚れてたな～……」

何年も大切にして

心の中で育ててきた気持ちがパリンと割れた。

恋を失う事は

こんなにも悲しいんだね。

また溢れそうな涙を誤魔化すように大きく深呼吸をしたところで

バン！と少し乱暴に屋上の扉が開けられた。

翔「智くん！」

智「……翔くん……」

翔くんは真面目な顔をしてこっちに来たかと思えば

智「……なんで……」

ぎゅっと俺の事を抱き締めたのだ。