第0色 ページ4
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午後、授業を終えてからほんの少し寄り道をして温室に向かうと、もう青いローブが見えていた。
「あれがエルトダウン？」
「多分、そう」
彼は彼らしくなくうずくまっていたが、確かにあの子と同じ背格好だった。
ハリーは『天体とその動き』を抱きしめて彼に近付く。
「ねえ、君、エルトダウンだよね」
肩が跳ねた。ゆっくりとこちらを振り向いた彼の、前髪がなかった。
隠していた左目があらわになっていたのだ。
目蓋のあたりに切り傷がある。それに、丸眼鏡は足元でひび割れていた。
「大丈夫？」
「きっとスリザリンの仕業だぜ」
枝切り鋏も足元に落ちている。そう考えると、ハリーのスリザリン嫌いは悪化していった。
彼はぎゅっと目をつむっており、眩しそうな顔をして「大丈夫」と何度も首を縦に振る。
眼鏡を拾って手渡してやると、割れたままのそれを掛けて、やっと目を開けた。
「ありがとう、ハリー。それと……」
左右で色の違う瞳がロンを見る。
「ロン・ウィーズリー。ちゃんと話すのは初めてだけど」
「ありがとう、ロン。ぼくはアリル・エルトダウン。よろしくね」
微笑んで握手を求められ、二人はそれぞれ応じた。
「アリール？」
「
「
「もちろん」
愛称を付けられ、嬉しそうに笑う。
「それで、ぼくに何か用なんだって？」
朝の怯えた様子と打って変わって、今はレイブンクロー生らしく冷静で落ち着いている。目蓋の傷は痛々しかったが、アリルは痛みを微塵も感じさせなかった。
「初めて会った日、君がこれを落としていったの覚えてる？」
『天体とその動き』を差し出すと、彼はぱっと目を輝かせた。
「ありがとう！ ずっと探してたんだ！」
話を聞くにアリルはマグルの中で育っていて、『天体とその動き』は幼い頃から何度も読み返してきたお守りのような本らしい。ホグワーツに入ることになった不安を和らげるために持ってきたそうだ。
「アリーはどこから来たの？」
「ティ、あ」
「
「ううん、アイルランドだよ。そこからロンドンの孤児院に拾ってもらって」
ハリーは何となく似たものを感じ、勝手に親近感を覚えた。アリルは、両親の顔も知らないというのだ。
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作成日時：2020年3月19日 16時
