第0色 ページ3
.
朝食のあと、魔法薬学の教室に向かっていると、緑色のローブが目に入った。隣には青のローブ。後ろ姿だけでも分かる──マルフォイだ。
ハリーだけでは飽き足らず、レイブンクロー生にまで手を出そうとしているのだろうか？
「早く向こうに帰れよ、異邦人。ここの魔法使いみんなを呪わないうちにさ」
人の波をかきわけて二人に追いつくと、マルフォイの隣にいたのは片目を隠した彼だった。丸眼鏡を押さえながら、唇を噛んでいる。
ハリーは「何言ってるんだ」となじるように声をかけた。
「何って事実だよポッター。こいつは呪われてる」
「だからって僕らを呪うとは限らない」
「おめでたい頭だな。もうマンドレイクをいくつも枯れさせてるっていうのに」
「呪いじゃない！」
震えていたその子は、絞り出すようにそう叫んだ。声変わり前の、少年の声色だった。
「それは──それは、ぼくが間違えた薬液をかけちゃったからで、スプラウト先生にも謝って許してもらってて、それで」
捨てられた子犬のような顔を見ていられなくなって、マルフォイに追撃しようと口を開いた瞬間、エメラルド色のローブが視界に現れた。
「何をしているのです？ もう授業が始まりますよ。早く教室に行きなさい」
マクゴナガル先生はハリーたちを追い払うように言って、黒髪のあの子に何かを耳打ちした。彼は先生に「ごめんなさい」と頭を下げ、走っていく。
一刻も早くマルフォイとは別の道に行きたかったが、生憎と魔法薬学の授業がスリザリンと合同であることは変わらない。ハリーはできるだけ早足で教室に向かった。
「遅かったね。何してたんだい？」
「エルトダウンに会ってた。彼、マンドレイクに間違った薬液をかけて枯らしたって」
「呪いじゃなくて？」
「うん。他の噂も、本当は呪いじゃないのかも」
ロンはまだ、あの子が呪われていると信じて疑わないらしい。
家系によるものではなく、彼個人のゴシップが魔法界で取り沙汰され、ホグワーツにきてそれを目の当たりにした生徒たちによって、噂として膨れ上がっているからだそうだ。
「ひとりでぶつぶつ喋ってるところは僕だって見たし、急に消えるのを見たって奴もいるんだぜ。姿くらましを使ってるんじゃないかって」
でも──と言いかけたところで、スネイプがこちらを睨んでいるのに気付く。
しまったと口を閉じたが、時は既に遅かった。
「ポッターとウィーズリーの無益なおしゃべりで、グリフィンドールは四点減点」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2020年3月19日 16時
