泣くわこんなん ページ5
あれからどれぐらい気絶していただろうか。イデアは目を覚ます。窓を見るとオレンジ色の空に夕日が浮かんでいた。まわりを見渡すと誰もいない。自分だけがポツン…とイスに座っている。思わずため息が出る。
「はぁああ〜…。」
「どうした、イデアくん!まだしんどいのか?」
「ギャーーーーーーッ!!?」
イデアの叫び声が教室中に木霊する。Aが天井に張り付いていたからだ。何でそんなことしてるの…とイデアは泣きそうになる。そんなイデアを気にせずAは
「そうそう!イデアくん!ノートはちゃんと取っといたぞ!」
と普通の微笑みなのかどや顔なのかよく分からない変な笑みで言う。
「あ、あっそう…。それはどうも…って、は?」
イデアは絶句する。それもそのはず。確かにノートはきちんと端から端まで書かれているのだが…。▲■●等のいわば記号で書かれていたからだ。
「ちょっと…ふざけてるの?何で記号を書いてるの?」
「暗号にした方が楽しいだろう!」
「は?暗号?」
イデアの頭がまた痛み出す。もうホンと嫌だコイツ…と思い、さっさと教室から出ようとする。瞬間、Aが天井からしゅっとイデアの前に下りてきた。イデアは驚きのあまり腰を抜かした。すると何故か少しビックリした顔になる。
「急に倒れこんでどうしたんだね!?どこか怪我したのか!?」
「い、いや…。ビックリして腰を抜かしただけ…ぁああああああああ!!!」
「rest!ice!compression!elevation!」と妙に発音よく言いながら、イデアを引きずり廊下を走り出す。イデアは
(陽キャでも誰でもいいから助けて…。)
と泣きながら思った。
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作者名:愛野絵馬子 | 作成日時:2021年1月21日 15時