【第2章】この世を色で染め上げて【リレー小説】 (ページ26)

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フランスにて。【文々。】ページ26

　フランスのとある街。洒落た建物の並ぶ通りを、月白の髪の少女が歩いている。鼻歌まじりに歩くその姿は、これから何か良い予定があるらしくご機嫌だ。軽くスキップをしながら少女はとある建物の目の前まで歩いていくと、一思いにその扉を開けた。

「ボンジュール！お二人さん！」

　そこはアトリエらしく、キャンバスや画材が置かれていた。中では白髪の少女が一心不乱に巨大なキャンパスに何かを書き殴り、それを柳色の髪の青年がニコニコと見ている。イロハとクロエだった。

　扉を開けた大きな音に驚いたのか、ビクッと肩を跳ねさせるイロハ。それから、その音の正体である少女に気付いて、さらに驚く。

「！？ぁ……アオイさん？」

「そうだよ、見ての通り絵師のアオイさ。どうかした？」

「どうしてここに……」

　もう一度言う、ここはフランスだ。つまり国外である。そんなに軽いノリで来るような場所ではない。
　驚くイロハなど気にする様子はないアオイだが、しっかりとその問いには答える。

「まぁ、向こうで調べ物をして疲れたから気晴らしにね。君に会いに来たってのもあるけど。数日もすれば帰国するよ」

「調べ物……？」

　首を傾げるイロハ。その一方で、クロエは何を調べていたのか分かったらしく、相変わらずの顔でアオイを眺めている。

「……アキと極彩家のことかい？」

「お、ご明察。あとはあの辺りが赤色を嫌う理由とかもついでに調べた。色々しれて面白かったよ。情報はそれなりに得られた」

　にこり、とアオイは一際笑みを深くした。