【第2章】この世を色で染め上げて【リレー小説】

助けたいから【みさと】 ページ24

「・・・こんな時期だからな。侵入者がいないよう、極彩家の神絵師全員で、結界を描いた。

他の人間は、入ることができない。相当力が無ければ、破ることも出来ないだろう」
と、男の人の声が、雨月さんの影に潜む私とクロエお兄ちゃんにも聴こえた。

雨月さんが門を潜ったとき、
ﾊﾞﾘｯ

と、結界が破れた。

そう、影に潜むクロエお兄ちゃんの影響だと思う。

気づかれないといいけど。。。

「認めたくはないですが、この破壊者は、強大な魂の力を持っています。

捕らえた後には、有益に利用できるかと・・・」

「ちなみに、魂の色は、黒です」

これを聴いて、クロエお兄ちゃんは私を抱えながら、
「あは、バレちゃったか〜」とニコニコしている。

「お前はなんだ！！！？？？落ちこぼれどころか、反逆者になるつもりか！！？？」
鼓膜が破れそうなほどの大きな声に、思わず身構えた。

助けにいかなきゃ、そう思って身を乗り出すと、
お兄ちゃんが、そっと促すように止めた。
その顔は変わらず笑っている。

「どうして？クロエお兄ちゃん」
「心から助けて欲しいと思って貰わないと、僕らも手を出しづらいからね」

そう言ってクロエお兄ちゃんはニコニコしている。

だって、あんなにも沢山沢山殴ってる。
痛いはずなのに、こんなのってないよ。

恐怖で声が出そうになるけど、クロエお兄ちゃんが手で声が漏れないようにしてくれている。

バレたら大変だから。

どうしてこんなに雨月さんは殴られなきゃいけないの？

落ちこぼれってなに？
どうして？


あんなに優しい雨月さんは落ちこぼれなんかじゃない。


「イロハさん・・・」
絞り出すような雨月さんの声を合図に、
私の中で何かが壊れるような音が聴こえた気がした。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す