【第2章】この世を色で染め上げて【リレー小説】 (ページ21)

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絡みつくもの【かふぇ】ページ21

電車に乗って、祖父の家に向かう

本家である屋敷が、破壊された

頭で繰り返してみても、現実味がない

悲しみも、怒りも、

全くといっていいほど、湧かなかった

ナミノさんの弟子になってからというもの、僕のなかで「極彩家」が小さくなったのだろう

到着すると、門の前に両親がいた。

「久しぶり」

小さな声でそういうと、父は無言で一瞥した。

祖父の屋敷に入ろうとすると、結界が張ってあるのに気づく

シャボン玉の表面のような、何色ともつかない膜があるのだ。

こちらの疑問に気づいたように、父が振り向いた

「・・・こんな時期だからな。侵入者がいないよう、極彩家の神絵師全員で、結界を描いた。

他の人間は、入ることができない。相当力が無ければ、破ることも出来ないだろう」

なるほど

結界を通り抜けていく父母に続いて歩く

バリッ

ん？

何かがはじかれる様な音がして、振り返るが、何もなかった

大広間に行くと、大きなテーブルに、極彩家の人間が座っている

「ああ、お宅の息子さんも来たのですね」

親族の一人が、僕らに声をかける

言葉の裏には、「お前のような者が来て、何になる」という意味があるように思えた

(いつものことだ)

そう言い聞かせて、落ち着かせる

心を殺せ

僕はいない

僕は空気

「全員、集まったようだな」

現在の家長が、口を開いた。

「もう知っているとは思うが・・・。極彩家の本家の屋敷が、破壊された。幸いなことに、死者は0人。

だが！」

拳で机を叩く

「こんなことは、前代未聞。我が一族の、恥である！！」

びりびりと響く大声に、全員が固唾を飲む

「早急、この者を捕らえること。汚名返上だ」

そこで、すっ、と彼の息子が口を挟む。

「認めたくはないですが、この破壊者は、強大な魂の力を持っています。

捕らえた後には、有益に利用できるかと・・・」

「ちなみに、魂の色は、黒です」

え・・・

「黒・・・？」

僕の呟きは、静寂なこの空間に、嫌に響いてしまった

一斉に、皆がこちらを振り向く

まずい

「何か、知っているのかね？」

家長が、こちらを見る

金色の目は、まるで、人を射貫くようだ

「いえ・・・」

まさか、クロエさんのことを言えるわけがない。

冷や汗が流れる

「そうか」

意味ありげに、口の端を上げる

誤魔化せているのだろか

怖い

もし、皆を巻き込んでしまったら