ぶつける感情【みさと】 ページ30
アトリエでイロハは絵を描き殴っていた。
フランスの賑やかな町の、大きすぎないアトリエで、
描いても描いても描いても描いても描いても
イライラする。
心のもやもやがいつまでも消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない。
時には沢山暴れた。
筆を持って、全てを塗りつぶしたくなった。
腸が煮えかえりそう。
全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部
鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい
「足りない…足りない…。色がもっと欲しい」
自分の腕を刃物で切ろうとした所で、クロエお兄ちゃんに止められた。
「イロハ、今は困惑していると思うけど、これは絵師に、絵の具に生まれたなら避けては通れない道なんだ。感情が高まりすぎると、絵師というものはそのように感情を吐き出しきるまで描かなきゃ、辛いままだよ。」
そういってクロエお兄ちゃんは強く、私を抱き締めてくれた。
クロエお兄ちゃんは私に筆を持たせてくれた。
一週間、ずっと私は、眠らず、食べず、
殆んどキャンバスの上で筆を感情のままに描きなぐった。
一週間で帰るつもりだったけど、
もう一週間ここにいよう。
その時、
「ボンジュール!お二人さん!」
あの、アオイさんがニコニコと笑いながらやってきた。
「!?ぁ……アオイさん?」
「そうだよ、見ての通り絵師のアオイさ。どうかした?」
「どうしてここに……」
そう言うと、アオイさんは口をひらいた。
「まぁ、向こうで調べ物をして疲れたから気晴らしにね。君に会いに来たってのもあるけど。数日もすれば帰国するよ」
「調べ物……?」
「……アキと極彩家のことかい?」
クロエお兄ちゃんはニコニコとしながらそう言った。
「お、ご明察。あとはあの辺りが赤色を嫌う理由とかもついでに調べた。色々しれて面白かったよ。情報はそれなりに得られた」
「そういえば、イロハちゃんはいつ、日本に帰るの?一週間はここにいるよね?」
「えっと、あと一週間は…」
と、言葉を濁した。
雨月さんに併せる顔がない。
私の感情で色が変わるというリボンは、薄くはなってきたものの、まだ黒色だ。
出しきらないと、
全部。
「イロハは一ヶ月預かるよ。」
クロエお兄ちゃんはそう言って微笑んだ。
その方がいいかもしれないと思った私がいた。
雨月さんも私に会いたくないだろうし
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?胡桃_美咲翔?(プロフ) - 作りました!!パスワードは同じです!! (2020年3月23日 16時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
天秋(プロフ) - ?胡桃_美咲翔?さん» ふあいとー! (2020年3月23日 16時) (レス) id: f69f9f0f1e (このIDを非表示/違反報告)
?胡桃_美咲翔?(プロフ) - ちょ、おけおけ、作るからまっててw (2020年3月23日 16時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮@雫3318(プロフ) - ?胡桃_美咲翔?さん» さぁてくるっちゃん…続編のお時間だぁ! (2020年3月23日 16時) (レス) id: 57a1a02777 (このIDを非表示/違反報告)
蓮@雫3318(プロフ) - 天秋さん» そゆことかな。 (2020年3月23日 16時) (レス) id: 57a1a02777 (このIDを非表示/違反報告)
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