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(Aside)


「ん? 早く教室戻ろうよ〜」

「ごめん、先帰っててもいいよ。ちょっと用がある人見つけたから」


みーちゃんは「んー」ともぐもぐしながら返事をして、壁に寄りかかる。どうやら待っていてくれるみたい。

私は小さく息を吸って二、三歩歩み寄ってから、「あの」と声をかけた。


「……ん? あ、昨日の」


こちらに気が付いたマッキー先輩が、私に向き直る。

お友達の方は不思議そうな顔をして、こちらを覗き込んできた。


……ちょっと怖い。


「誰? 知り合い?」

「いや、及川のファンの子。……で、何?」

「あ、その、これ、もし良かったら……」


シュークリームの入ったビニール袋を差し出して、マッキー先輩の顔色を伺う。

困ったような顔でそれを受け取ったマッキー先輩。
中を覗いて、それから、驚いたように顔を上げた。


何か言われる前に、と慌てて口を開く。


「別に食べたい訳じゃなくて、なんとなく買ったので。……食べたい人に食べられた方が嬉しいかなって」

「……シュークリームが?」

「はい」


ぷ、と彼の隣にいた友達が吹き出した。


私、何か変なこと言った……?

この台詞は間違い……?


不安になるも、マッキー先輩を前にして脳みそは既にショートしている。考えたところで考えるだけ無駄だ。


「その気持ちは嬉しいけど、これは貰えないわ」


はい、返すよ、と押し付けられた袋を、全力で押し返す。


「お金はいらないので! 突然すみませんでした!」


シュークリームの袋を持って困惑するマッキー先輩とその隣で笑っているお友達さんを置いて、私は逃げるように駆け出した。



少しだけ触れた手の感覚が、じんじんと掌に残っていた。

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殊梨(プロフ) - 冷凍庫さん» とっても嬉しいです、是非お願いしますm(._.)m (2019年10月3日 21時) (レス) id: a11fe8d0dd (このIDを非表示/違反報告)
冷凍庫 - イメ画を描いてもいいですか? (2019年10月2日 18時) (レス) id: 29ebb411a4 (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 黒伸☆〜(ゝ。∂)さん» 矢巾くんのポジション、どうするか凄く悩んだのでそう言っていただけてとても嬉しいです!ありがとうございます(_ _) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
黒伸☆〜(ゝ。∂)(プロフ) - コメント失礼します。主人公ちゃんとマッキーと矢巾んの三角関係が可愛くて大好きです!ああ!!3人とも幸せになれ!!と思いながら見てます!これからも頑張って下さい! (2019年8月29日 20時) (レス) id: d24404e68a (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 声優LOVEさん» コメントありがとうございます! わー嬉しいです(*/∀\*)頑張りますね〜! (2019年8月29日 19時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:殊梨 | 作成日時:2019年8月17日 23時

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