謎のキーホルダー 鈴side ページ13
和典くんが黙ってしまったので、話し始める。
「落ちてきた、ということは上からということでしょう？そのキーホルダーは上から、というよりは横から飛んできたように見えたわ。そうね、角度からすると……あのロータリーがある方だとおもう。」
黒木くんがじっと私を見る。
「あそこからここまでじゃ、100メートル以上ありますよ。」
「ええ、そうね。だけど不可能じゃないわ。」
私では難しいけど、出来ないことはない。
「ちょっと黒木、それ見せて。」
小塚くんが、熱心にキーホルダーを観察している。が、どうやら小塚くんでもあまり見たことのない結晶らしい(彩にKZの事をたくさん教えてもらった)。
「ねえねえ」
彩が服を引っ張って、眉間に皺を寄せながら言う。
「あのキーホルダー、本当に飛んできたの？」
「ええ。私、動体視力いいのよ。」
「わざわざ上杉くんを狙って飛ばしたって言うの？」
「それはどうだろう。例えば、家の中にこのキーホルダーがあってはいけない理由があってベランダから思い切り投げた。それが偶然当たったりすることもあるよね？」
確かにと言いたげにこちらを見つめる彩。
「君たち。」
後ろで声が響いた。声の正体は綾瀬中学の男の子みたい。走ってきたようで、肩を大きく上下させていた。
「この辺りに、キーホルダー落ちてなかった？」
キーホルダーの持ち主、黒木くんは居なくなっていた。それにしてもこの男の子、顔色が悪いように見える。どこが具合でも悪いのかな。
「見なかったかい？」
重ねて聞かれて参ってしまう。答えたのは和典くんだった。
「ええ、拾いました。あなたが落としたんですか？」
「うん、そうだよ。」
「どこから？」
探るような目で会話を続ける和典くんに、綾瀬中学の男の子はマンションを仰ぎながら、
「自分の部屋から。身を乗り出して窓の外側を拭いていたら、ポケットから落ちたんだ。」
え？おかしい。キーホルダーは落ちてきたわけではないし、あれだけ走って来たのならもう少し早くてもよかったはず。うーむ、怪しいな。
「拾ったんなら、返してくれないかな。」
返すも何も返すものがないからなあ。と困っていたら彩が話を紡いでくれた。その途中で黒木くんが戻ってきて、キーホルダーを男の子に返した。その男の子は爽やかな笑みを残し、去っていった。
「黒木、何やってたんだよ。トイレ行ってたなんて見え見えのウソだぜ。」
和典くんに同感である。あの誤魔化し方は何かあったみたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
night(プロフ) - みぷくんさん» 気づいたところは直しましたが、まだあるかもしれません…。 (2022年1月5日 15時) (
レス) id: 0cc99a9693 (このIDを非表示/違反報告)
night(プロフ) - みぷくんさん» すみません！すぐ直します！ (2022年1月5日 15時) (レス) id: 0cc99a9693 (このIDを非表示/違反報告)
みぷくん - 若竹の竹ですがこっちの武です。 (2022年1月5日 13時) (レス) @page26 id: a292e0e664 (このIDを非表示/違反報告)
night(プロフ) - シーさん» コメントありがとうございます。そんな風に考えながら書いてます！ (2021年12月26日 18時) (レス) @page19 id: 0cc99a9693 (このIDを非表示/違反報告)
シー - 彩にお姉ちゃんがいるとこんな感じなのかなと思いました。 (2021年12月24日 22時) (レス) @page11 id: bdade2f463 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：night | 作成日時：2021年11月10日 20時
