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「電話、切れたんじゃなくて俺が切ったの」



「……、」



「俺から電話きて、迷惑だった?」





いつもより、冷たい調子に聞こえた。




「……そんなこと、」




"嬉しくて心臓が跳ね上がった"



それをそのまま言えなくて、つい黙り込んでしまった。







「……いいよ、言いたいこと言えば。

てかさ、さっきの男、完璧Aのこと狙ってた。

電話の向こうから、帰す気ないの聞こえてたよ?」





「ごめん…」



「平気」




余計冷めた声色が、本心をと掻き立てる。




だからちゃんと向き合おうと思って、







「……ほんとはなんか、凄く、ドキドキした…、

あんま、上手く言えないんだけど、」





恥ずかしいけど、ゆっくりと見上げた。








龍也はいつもの伏し目ではなく、

不思議そうな丸い目で私を捉えていて。








「…多分、

私が男の人にドキッとするのは、龍也だけなんだろうなって、


今までも思ってたけど言った事ないけど、



声聴いた瞬間改めて、

龍也のこと好き、だと思った…」






「……」





「ごめん、いきなり……」





「……ううん」






優しい声が擽ったくて、







「……恥ずかしい、」






顔を隠すように初めて、龍也の胸に顔を埋めた。





龍也の胸は硬かった。





そのまま、数十秒、龍也の体温と匂いだけを感じた。





今までみたいにふわっとではなく、染みるようにしっかりと。










「……龍也は私に好かれるの、迷惑だと思わない?」






胸に顔を埋めたまま、震えかかった声で尋ねると、





「……俺が大事な妹だから傷付けたくなくて、あの時ああいうこと言ったって思ってる?

毎日手を繋いで一緒に帰ってるって思ってる?」





逆に聞かれた。



どことなく、甘い声だった。







「確かに俺らは家族であることには変わりないし、

そういう意味ではいつも大切にしてきたって思ってるけど…、



でも、それだけじゃ済まされない気持ちに気付いたの、俺の方が先だから」






「……」




「俺の方がずっと、Aのこと好きだから」






「……、」






「こうやって触るのも、ずっと我慢してただけ」







ぎゅって抱き返されると、心地よくて涙が出そうになる。

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はるか(プロフ) - 読ませていただきました。切なくて、どきどきして、胸がいっぱいになるお話でした!優しいし龍也おにいちゃんすごくすきです!素敵な作品をありがとうございましたっ (2019年7月28日 4時) (レス) id: 2fad28cd3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年9月14日 20時

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