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「……だからもう、私とのそういうことはやめたいって、

そういう話をしに呼んだの?」









私の声が震えてるせいか、

龍也は考え込むように俯いた。








「からかったり、意地悪な振りをして、

いつも優しくしてくれるから……、



正義感があって、真面目な龍也だから……、



ほんとは悩んでいることくらい、私には分かる……」








「俺はそんなまともなお兄ちゃんじゃないから」






龍也は重ねるようにして、消え入りそうな声で呟いた。









「ほんとはもっと、Aにはマシな男を見つけてあげたいって、

そいつと結婚してそいつの子供産んでっていう、幸せな生活を送らせてあげたいって、



本当にAを幸せにしたいなら、兄として俺が、何を望むべきかってこと、分かってるはずなのに」







「………」





「……でも、俺にはそれが出来なくて……」








痺れるくらいに切ない表情で見つめられた。








「他の誰かに渡すくらいなら、いっそ俺の手で汚してしまいたいって……」





「龍也、」






椅子から降りた瞬間に、ベッドの淵まで近付かれた。




僅か30センチの距離で目線を合わされる。






「ごめんね、Aのこと傷つけないって言ったのに、」






「……傷つかないよ、私龍也といられるなら」









悲しい思いをするために龍也を愛したわけじゃない。





だけど龍也を愛するためなら、どんな悲しみごと包んでいける。









「……ねぇ、」




ふらふらと、彷徨うように移ろぐ視線に問いかける。









「Aが欲しい……」




そう言った龍也の手が、後頭部へと回り、






「ふっ、」









絡みつくように激しく、唇を奪われた。

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はるか(プロフ) - 読ませていただきました。切なくて、どきどきして、胸がいっぱいになるお話でした!優しいし龍也おにいちゃんすごくすきです!素敵な作品をありがとうございましたっ (2019年7月28日 4時) (レス) id: 2fad28cd3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年9月14日 20時

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