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黄side〜
松田元太くん。
意識不明のまま救急に運ばれてきた時は本当に驚いた。
ガリガリに痩せた身体に、日に焼けたような跡もない真っ白な肌に所々に見える変色したどす黒い痣。
母親に連絡すれば、あっさりと彼の状況を受け入れて、半年間だけは治療費を出す、なんて彼女は言った。
でも、彼の脳波は正常で、どこにも異常は見つからなくって。
正直言って、今の医療では、どうにもならなかった。
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「…先生、またここに居たんですね、」
「……あぁ、ごめん、」
仕事終わり。俺は毎日のように、元太くんの病室へ向かっていた。
「松田さんのこと、心配なのは分かりますけど、しっかり休んでくださいね?」
心配したような看護師が、小さく溜息を着いた。
“貴方に倒れられたら困ります”
なんて言われて、言い返す言葉も見つからず俯く。
______俺の事、忘れて?_______
なんて、しめに言われた最期の言葉。
しめの言葉ならなんでも叶えてやりたいはずなのに、これだけは、どうしても忘れられなくて。
細い身体に白い肌。
どこかへ行ってしまいそうな儚さを持ち合わせた元太くんとしめを、俺は重ねてしまっている。
時々苦しそうに顔を歪めたり、涙を零したり、逆に幸せそうに顔を弛めたりする元太くん。
それでも彼は、まるで生きることを諦めたかのように目を覚まさなかった。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時