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「……だから、さっき元太が、“笑った顔の方がいい”って言ってくれて、……なんか、昔の自分が救われた気がしたんだ、」
ぐちゃぐちゃに泣いたチャカが、ふわっと笑った。
「…ぅん、チャカは本当に笑ってる顔の方がいい、」
「…ふ、ありがとうね、………カイト、今まで黙っててごめんな?」
“ずっと嘘ついててさ、”
チャカがそういえば、カイトがバッとチャカの肩を掴んだ。
「…んなの、俺の方こそ、……悪かった、ごめん。………今までカイトが苦しんでたことに気が付かなくって、」
ぽろん、とカイトが落とした涙が、レインエトランジュの床に消える。
「元々は、本当の事、言ってなかった俺が悪いんだし……」
それに、…と、少し悲しそうな顔をしたあと、少しだけ笑ったチャカ。
「カイトが居なかったら、
…きっとココに来れなかったと思うし、」
「……それって、」
何かを察したような海斗が、悲しそうに目を伏せた。
「…あぁ、ゲンタは知らないのか、……ココって、“寿命を全うした人”が来るところなんだ、」
カイトが何も知らない俺に説明をしてくれて。
「…寿命を全うしたひと、」
それって。
「……ぅん。俺、死のうとしてた、」
「…っ!」
“毎日辛くって、いっそ死んじゃったら楽なのに、なんてさ、”
悲しい言葉を並べたチャカ。
それでもチャカは相変わらず笑っていて。
「…チャカ、」
俺のお節介かも知れないけれど。
「ん?なに、元太、」
「…苦しい時は、笑わなくていいんだよ、……泣いていいんだよ、」
そう言えば、チャカの大きな瞳が小さく揺れた。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時