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俺が海斗に抱いている感情が、海斗が俺に抱いている感情とは違うことに気がついたのはいつだったっけ。
ずっと、何となく気が付いていた。
そのキモチには気が付かないふりをしていた。
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「げんたー?こっちこっち!!」
内緒だよ?なんて口元に手をやって教えてくれた、海斗の“ヒミツキチ”。
“ヒミツキチ”なんていうのは名前ばかりで、ただのジャングルジム。
だけど、二人きり公園のジャングルジムのてっぺんに上がれば、そんな事はどうでも良かった。
随分昔のことだけど、ハッキリと、キラキラ太陽に照らされて笑う海斗が思い出される。
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「……げんた?」
おーい、なんて少し心配そうに俺の顔を覗き込む海斗に気がついて、慌ててグルグル渦巻いていた感情を胸にしまい込む。
「ごめん、ちょっとぼーっとしてた、」
「…なんだよぉ、」
少しだけ不貞腐れたような海斗の声が落ちる。
「…へ?」
「…元太ってさ、話してくれないじゃん、」
「…ぇ、どういうこと、?」
「…大事な事、話してくれないじゃん。いっつも我慢してさ、……俺、頼られてねーのかなって、」
ちょっと待って、何言ってんだろ、ごめん。
ガシガシと頭を搔く海斗。
「……ぉれ、海斗になんか隠し事してたっけ、?」
“いっつも”という、海斗の言葉にどうしても引っかかってしまって。
「…あー、えっと、……その、さ?」
もう時効だよな。
なんて言って、今度は海斗が気まずそうな顔。
眩しそうに太陽を見上げた海斗は、“昔の話”をぽつり、と話し始めた。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時